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2020年2月21日 (金)

中島義道『過酷なるニーチェ』河出文庫

『ツァラトゥストラ』は、超人(候補者)のための書なのであり、それを自覚している者にとってだけの書なのである。

ニーチェは、キリスト教(パウロ主義)がもともと神は存在しないのに、あたかも存在するかのように2000年にわたってヨーロッパ人を騙し続けたことが赦せなかったのである。

ニーチェの主張するニヒリズムとはパウロ主義とプラトニズムに遡るヨーロッパのニヒリズムであること、・・・・・

エリーザベト・ニーチェが兄を天才に仕立て上げようというもくろみで編纂した、よってあまり資料的価値のない『力への意志』・・・

カントこそ、「神がもともと死んでいる」ことを暴いたのではないか?神の比重を無限小にまで低め、神が生きていても死んでいても同じことだと呟いたのではないか?カントは神の存在証明が有効ではないことを示してみせたが、神の不存在も証明できないことを示したのである。その代わりに、カントは「理性」を神の位置に据えた(理性信仰)。

カント倫理学のかなめは、善悪の内容があらかじめ決まっていないことである。それは、各自がそのつど理性の声を聴いて(自律)決定していくものなのだ。

要は、ワグナーの「不誠実」が耐えがたくなったのであろう。

彼の世話をした母や妹を、自分の思想を妨げる者として徹底的に嫌った。

 

2020年1月30日 (木)

中田考『イスラーム 生と死と聖戦』集英社新書

ムスリムになるには、アッラーを信ずることだけで十分なのです。

一日に五回の礼拝は義務であるとか、お酒を呑むことや豚肉を食べることは禁じられている。これは全部シャリーアに根拠があり、・・・

アッラーは慈悲深いので、善のほうをたくさん勘定してくれるのです。

巡礼に行くことによって、これまでのすべての罪がなくなってしまうとされています。

死者の埋葬は土葬と決まっています。

現在のムスリムのジハードは、異教徒の攻撃に対するやむをえない自衛としての行為に限定されていたのです。

国境線も何もなかった大地を直線で区切ったのはイタリアとイギリスです。

ムスリム全体の運命を決めるジハードを命じることができるのはカリフだけです。

 

磯田道史『天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災』中公新書

若狭湾は「原発銀座」とよばれ、原子力発電所が多い。

上杉景虎(謙信)は美少年と酒を呑むのが好きであったと・・・・・

地震後、せっかく明との講和がまとまりかけたのに朝鮮に再出兵するといいだした秀吉に人々はあきれた。

津波から逃げる時は、勇気をふるって、声を出しながら逃げるようにしたいものである。

現在、はっきり被害が想定されているもので、日本最大の危機はこの南海トラフの連動地震である。

明治日本の科学者は対応が早い。

土砂崩れには、しばしば前兆がある。・・・・・地鳴りや異臭を察知しなくてはいけない。察知したら、逃げる。

低気圧は海を吸い上げて潮位を上昇させる。

幕末、佐賀藩が日本最高の科学技術国となり、最強の軍事力をもつにいたったのは、・・・・・

西洋への自爆攻撃を組織的に準備した最古の歴史的事例は、佐賀藩・福岡藩の可能性がある。

一番の教訓は「津波の時に金品にこだわってはいけない」であった。

水門は重要ですが、あくまでも時間稼ぎと思ってください。

 

2019年12月14日 (土)

ジョゼフ・A・マチャレロ編『ドラッカー 365の金言』ダイヤモンド社

上司が真摯であるかどうかは数週でわかる。・・・・・真摯さの欠如は許さない。そのような者を選ぶ者を許さない。

組織が腐るのはトップが腐るからである。

自らが専門とする分野については、誰よりも詳しくなければならない。

全体主義は競争を許さず、絶対のボスを据える。

理論が実践に先行することはない。理論の役割は、すでに有効性を確認された実体を体系化することにある。

重要なことは、できないことではなく、できることである。

指揮者は解釈者である。

リーダーシップとは、人のビジョンを高め、成果の水準を高め、人格を高めることである。

真摯さよりも頭のよさを重視する者をマネジメントの地位につけてはならない。

リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。回避するためでなく備えるためである。

聞くとは、スキルではなく姿勢である。

本当に重要な決定は人事だ。

経営政策を含め、人間社会にかかわる事柄について重要なことは、正しいか間違いかではない。うまくいくか、いかないかである。

事業の定義は検証していかなければならない。

あらゆる事業の定義が、やがて陳腐化し実効性を失う。

第一に、今日必要な現金がない。第二に、事業拡大に必要な資本がない。第三に、支出、在庫、債権を管理できない。おまけに、これら三つの病は同時に起こる。

まったくやらなかったならば何が起こるかを考えればよい。やめても何も起こらないのであれば、明らかに結論は直ちにやめよである。

誰かにできることは他の者にもできるというものである。

全体主義の哲学は、人に死ぬ覚悟を与える。

2019年12月12日 (木)

メアリー・エレン・オトゥール他『FBI元心理分析官が教える 危険な人物の見分け方』Gakken

私はだれよりも、直感を信じてはいけないことを骨身にしみて知っている人間だ。

アンガーマネジメント(怒りを処理すること)。

まずは行動を観察する。

反社会性パーソナリティ障害の人はナルシスティックで、大げさにものを言いたてる傾向がある。

ある人物が危険かどうかは、本人の外見を見ただけでは判断できない。

危険な人間は周囲に溶けこむのがうまい。

屋内にいるときに地震があったとき、いちばんいいのは外に駆けだそうとせず、上から落ちてくるものを防ぐために丈夫なものの下、たとえばベッドやドア枠の下にいることだ。

子ども殺しは刑務所での地位が最低になることが多いため、・・・・・

2019年12月 8日 (日)

鹿島茂『悪女入門 ファム・ファタル恋愛論』講談社現代新書

へたをすれば命さえ危ないと承知していてもなお、男が恋にのめりこんでいかざるをえないような、そんな魔性の魅力をもった女のことをファム・ファタルと呼ぶわけです。

破滅するだけの「価値」のある男であることが必要になります。・・・・・賭けるに値するだけの「賭け金」を有している男でなければなりません。・・・・・ファム・ファタルは、男が「賭け金」のすべてを失ってもいいと覚悟するほどの魅力がなければなりません。

二人が運命の仕組んだ悪戯としか思えないような偶然によって出会うという要素も不可欠です。

ファム・ファタルというのは、やはり、女性に対するギャラントリーが恋愛の前提となっているヨーロッパ型の社会でなければ存在しえないものなのです。

金の本質がわからずにただ楽しく暮らしたいと願う女ははなはだ危険だということです。

苅部直『丸山眞男ーリベラリストの肖像』岩波新書

いわく西洋近代の愚直な賛美者、いわく大衆から遊離した啓蒙家、いわく国民国家の幻像にしがみつく隠れナショナリスト。右側からは冷戦時代に共産勢力に迎合した学者先生と叩かれ、左側からはラディカルにつき進もうとしない保守性を糾弾される。

宣長は、儒学、とりわけ朱子学の倫理を、理窟によって人の「真心」を束縛しようとする、中国風の「漢意」の所産と見なし、それは支配者が、高邁な理想を掲げ人々を手なずけるためにこしられたものにすぎないと批判した。

絶対の正義は存在しない。しかし人は執念を持つものだ、それによって動くのだ、それがどんなにイリュージョンであっても、イリュージョンの方が現実よりも強い。

「最も意地の悪い」しうちを加えてきたのは、陸軍兵志願者訓練所で徹底した「皇民化」教育をうけて入営した、朝鮮人の一等兵だったと丸山は回想している。

カイヤットの映画の医師のように、たとえ自分では良心をもって接していると思っていても、植民地支配をうけている「現地民」からすれば、しょせん、憎むべき支配者の一員にすぎない。

私はあなたのいうことに賛成派しないが、あなたがそれをいう権利は死んでも擁護しよう(ヴォルテール)。

真の政治理論は必ず性悪説をとる。

宗教信仰までもが、国家や政治党派、あるいは営利団体による操作の対象となっている時代が、丸山の言う「現代」にほかならない。

2019年11月27日 (水)

マックス・マキューン『「戦略」大全』大和書房

目標は、無駄にならない何かを実行する能力を高めることだ。

戦略とは経験則と創造的手法の混合物だ。

完璧を目指すよりも、まずやってみよう。

企業は他社に勝つ(あるいは模倣する)ことに意識を向けすぎていると主張している。

重要なのは、一時的な強みを、継続的な強みに変えられる能力を高めることだ。これは、長期的に、ブルーオーシャン戦略から資源ベースの強みに移行することを意味する。

戦略の役割は、利益と顧客価値を最大にする方法を見いだすことだ。

ビジネスモデルとは、戦略スペース内で価値を創造し、それを収入に変えるためのアプローチのことだ。

レッドブルの創業者は、東南アジアの市場から学ぶことで、世界的なブランドを確立した。

戦略では、直観力は分析と同じくらい有効だ。

〝プランB〟は、戦略家の大きな味方になる。

多くの企業は、「同じ顧客のために同じことをする」という罠に簡単に陥ってしまう。

 

ジョン・イリチ『世界一わかりやすい絶対勝てる交渉術』総合法令

礼儀正しい人に対して反論するということは、常にとてもやりにくいことであるからだ。

気分が落ち着くまで静かに10まで数えてみることが賢明だ。

深呼吸して10まで数える。

10まで数えたら、もう一度10まで数える。

もし、相手が脅迫や威嚇をしかけてきて、あなたが同じように対応しないとする。すると相手は混乱し、自分の無礼な行為をやめ、それについて考えるだろう。そして、結果的にはあなたが有利になるのだ。

目標が現実的で妥当なものであればあるほど、その目標に到達する可能性はより高まるということを十分理解しておかなければならない。

別の目標もあらかじめ設定しておくことの利点は、代案をもっていることである。

「トークショーの司会」テクニックは、しかし、けれども、やはり、~以外は、という四つのキーワードを使用することにかかっている。

最悪の状況も、それを知ってしまえば心は平静になる。本当に辛いのは、はっきりわからない状態に置かれることである。

もう一度いっておくが、もしもあなたが相手の提案や対案を気に入っても、それを相手に漏らしてはいけない。

どの交渉でも同じだが、けっして必死になっている様子を相手に見せてはならない。

論争に勝って客を失っても、何も得るものはない。

怒りは理性の灯火を吹き消してしまう風である。

事実が思想と結びついたとき、世界に最も偉大な力が生まれる。

2019年11月24日 (日)

清水勝彦『経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由』日経BP社

科学で耳にする最も胸躍る言葉は、「私は発見した」ではなく、「へんだぞ」なのだそうです。

本当に経営に役立つのは「世代を超えて生きてきた法則=幹(あるいは根)」なのです。

成功企業の経営者が「当たり前のことを当たり前にやっているにすぎない」とほぼ異口同音におっしゃるのを聞いても、・・・・・

Ph.D.というのは「リサーチの学位」といわれるくらいなので、・・・

心理学とかマーケティングというのは、実はほぼ「統計」の学問であることも教わりました。

「確率」という言葉は、サンプル数が多くて初めて成り立つということを忘れてはなりません。

その時リーダーに必要なのは『任せたから勝手にやれ』と放っておくのではなく、『陰ながら見守る』という態度である。

「予想外のことは必ず起きる」と言いながら「予想外を最小にする」ことに努めていた。

専門家であるということは、自分の限界を知っていることだと思います。

「私がこういう作戦を立て、このようにして業績をあげました」ということが、きちんと言えなくてはならないのです。

何も考えずに200回素振りしても、腕が太くなるだけ。

合理性を前提にしたフレームワークや定量分析は、「分かりやすい」ばかりでなく、「教えやすい」のです。答えは結構客観的に出ますから、テストも採点しやすいです。

アイデアだけなら、誰かすでに考えていると思ったほうがいい。

 

 

2019年11月20日 (水)

ロバート・グリーン他『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則 上』角川書店

一日たりとも油断するな。

誰一人として心から信用してはならない。友人も恋人も含めて、全員を観察せよ。

受けている寵愛におぼれて慢心してはならない。

主人より目立ってはならない。

友には用心せよ。

凄腕の詐欺師は、まったく平凡で目立たない外見を装い、人に特別な印象を与えないようにする。・・・・・ひとたびありふれたものでカモを油断させたら、その裏で進行中の欺瞞に気づかれることはない。理由は単純だ。人は一度に一つのことにしか注意を向けられないからである。目の前にいる退屈で無害な相手が、同時に別のことをもくろんでいるとは想像もつかない。

部下よりも先に口を開いてはならない。こちらが黙っていれば、相手は急いで話しかけてくる。

いったん評判が固まれば、とくに精力をつぎこまなくとも、存在感はおのずと増し、実際以上のパワーがあるように見えてくる。

忘れようにも忘れられないイメージをつくりあげて、世間の注目を集めよ。

与えてから奪え。

黒川伊保子『女の機嫌の直し方』インターナショナル新書

「何が正しくて、何が正しくないのか」で議論しても、まったく埒が明かない。どうも女たちは、世間(客観)に照らして正しいことを正しいと言うのではなく、自分(主観)にとって心地いいことを正しいと呼んでいるらしい。正解が「彼女の中」にある以上、手も足も出ない。

優秀な男性脳ほど、女性の機嫌を損ねるように動くからだ。

女性は、ことの発端から語りたがる。男性は、最初にゴール(話の目的あるいは結論)を知りたがる。

女性脳は、「怖い」「ひどい」「つらい」などのストレスを伴う感情が起こるとき、そのストレス信号が男性脳の何十倍も強く働き、何百倍も長く残るのである。そして、共感してもらうと、その余剰な信号が沈静化するようにできている。

論理や数字で説明できないからといって、女性が一生懸命伝えたがっていることを、どうか軽んじないでほしい。

女は共感されたい、男は問題解決をしたい。

女性に接するとき、最も気に留めておいてほしいのは、とにかく共感。「いきなり問題解決」は、たいていの場合、仇になる、と心得てほしい。

2019年11月10日 (日)

岡田暁生『オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」』中公新書

ヨハン・シュトラウスの『こうもり』を唯一の例外として、正規のオペラ劇場は絶対にオペレッタを上演しないのである。

十八世紀末のモーツァルトから二十世紀初頭のリヒャルト・シュトラウス/プッチーニまでの時代である。この百数十年こそはオペラの黄金時代であり、オペラが最もオペラらしい時代であった。

オペラが発展したのは何といってもイタリアの諸都市であり、ミュンヘン、パリ、ウィーン、つまりカトリック圏の宮廷都市である。

美しい詩文の抑揚を心掛け、オペラから喜劇的要素を追放した。こうして1720年頃に成立したのが「オペラ・セリア」と呼ばれるジャンルである(なお喜劇的要素はオペラ・セリアから分離されて、「オペラ・ブッファ」というもう一つのジャンルを形成することになる)。

モーツァルトのオペラは、少なくともうわべだけ見れば、おふざけと官能の連続である。

ワーグナーの『ニュルンベルクの名歌手』は、『魔弾の射手』と並ぶドイツの国民オペラである。第二次大戦中にナチスはこの作品を党大会で記念上演するなど、「愛国オペラ」として徹底利用した。

ムッソリーニもまた国民的作曲家ヴェルディを政治的に利用しようとしたのである。

若林計志『プロフェッショナルを演じる仕事術』PHPビジネス新書

人は常に新しいものを求めていながら、同時になじんだものを求めます。

フレームワークは抜け漏れを防ぐチャックシートとして役立つのです。

知りたくない事に対して情報を遮断し、耳を貸さない事を「バカの壁」と呼びます。人間が最終的に突き当たる壁は「自分の脳」であり、一旦自分が正しいと思い込んでしまうと誰でも「バカの壁」を作ってしまうのです。

「イケア」は、ディズニーランドをベンチマーク(お手本)にしています。

謙虚になって学ぶ心を身につければ、どんな事からでも学ぶ事ができる。

 

2019年11月 1日 (金)

熊野英生『なぜ日本の会社は生産性が低いのか?』文春新書

心配すべきは、未来のことだ。あなたは誰も他人を育成していない。あなたが会社からいなくなると、あなたが果たしてきた重要な役割が世の中から完全に消滅する。

過去の成功体験から、余剰資金を高い収益資産に投資する発想よりも、組織を統制してキャッシュフローをコツコツ増やすことに執着するのである。

結局のところ、私たちは節約で利益を積み上げるという成功体験から抜け出せない。

日本には多くの分野において突出した非価格競争力を発揮する企業がないからだと筆者は考える。

高齢化のトレンドを変えられない。・・・・・経済の主役たる企業が継続的に稼げる商売を発見し、若い勤労者世代への所得分配を増やして新しい需要の担い手としてのリッチ層、新しい中流階層を育てることである。

「何か有効な投資をしたい。でも、投資をする代わりに、手元資金が目減りするのは怖い」。そうした葛藤が、経営者の心の奥底で渦巻いているのだ。

2019年10月28日 (月)

島田雅彦『深読み日本文学』インターナショナル新書

神話は古代人の生活の記録や未来への警告、そして過酷な運命を受容するための装置でもあるのです。

「超自我」とは、自我に対して道徳的な監視や命令などを行うとされるものです。

春樹作品にとっての超自我の正体は「アメリカ」です。

カフカも登場人物の名前を、しばしばイニシャルで表記する作家でした。

ナショナリズムという概念は、ある意味で「民主化」とペアを成しています。なぜなら、ナショナリズムとは上から押し付けられるものではなく、下から突き上げてくるパトス(情念)だからです。民衆にある程度の表現の自由が与えられていないと、つまり民主化していないと、ナショナリズムは盛り上がりません。

古代ギリシャの叙事詩の作者たちも、ある地域について書くときに「その地方の有名人は誰々である」という説明をしています。

無頼派とは、第二次世界大戦直後の混乱期に、反俗・反権威・反道徳的な作風で活躍した作家たちのことです。

トランセンデンス

 

池上彰・佐藤優『知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術』文春新書

NATOは、小国が多い欧州とアメリカによる集団的自衛権に基づく組織。もしロシアに攻撃されたらアメリカが助けに来てくれるという前提で組織されています。

イギリスの原潜の母港はスコットランドにあるんです。

テロリストというのは、ローンウルフ型でも徹底的に訓練された人でも、最後に命を捨てるというときには必ず「我」が出るという。この世において自分がなしとげたことの足跡を残しておきたくなるというのです。

共謀罪の問題は、これこそが現代の治安維持法である点です。近代法において、具体的な行動を伴わずに内面にとどまっているうちは法律の対象ではないという原則が、テロリズムには適用されないという発想なんです。

パリのテロリストの摘発では、容疑者を全部殺してしまったでしょう。常識的には、生け捕りにしたほうが情報を取れるのに、殺してしまったのはなぜか。生け捕りだと公判をしないといけない。・・・・・・・死刑制度がなくなると、超法規的な処刑が起きるわけです。

アイゼンハワーがやったノルマンディー上陸作戦だって、ソ連軍がもう少しベルリンに迫ってからやれば簡単に勝てた。

オルタナ・ファクトとは、「第一条、教祖は正しい。第二条、教祖が誤った場合は第一条に準ずる」という二条から成り立っている世界でしょう。

スターリンの著作には必ずゴシックが出てきますね。

アラブ地域というのは、いわゆる国民国家ではなく、部族や宗教が支配的ですから、どこも非常にやっかいな国内事情を抱えています。例外として国民国家らしいのがエジプトですね。

中間団体的な、たとえば公明党みたいなものがだんだん細っていく。これはモンテスキューが『法の精神』で非常に危惧していた民主社会のあり方です。中間団体が力を失うと、結果として暴力装置を持っている国家が力を持ってしまう。『法の精神』はよく読まれていますけど、権力分立ばかり取り上げられている。あんなのはじつは小さい話で、ポイントは中間団体の重要性です。

2019年10月 5日 (土)

志賀櫻『タックス・オブザーバー 当局は税法を理解しているのか』エヌピー新書

多くの家計では社会保険料の方が、所得税と消費税の合計額よりも多い。

カフカの『審判』では、主人公のヨーゼフ・Kは自分が何の罪によって裁判を受けているのかを知らせてもらえない。

大島訴訟の判決がその後の租税訴訟に多大な影響を与えて、納税者の権利利益の保護を阻害してきた。これは大問題である。

「代表なければ課税なし」のように、税制と民主主義の成立には歴史的にも密接な関連がある。

アベノミクスの3本の矢といっても、実際に中身があって発動されているものはクロダノミクスしかない。アベノミクス・イコール・クロダノミクスなのである。

長期的な経済成長というものは、供給サイドにおけるイノベーションによって生じる。このことを主唱するのはシュンペーターである。

ピケティの議論は、タックス・ヘイブンにおける莫大な額の隠匿という点についての考察が欠けている点が指摘されなければならない。

軽減税率は、低所得者・高所得者にかかわらず、全ての人が消費する生活必需品に適用される。従って、逆進性対策にはならず、むしろ多く消費する高所得者への恩恵が相対的に大きいであろう。また、全ての人が消費する生活必需品に適用するということは、税率を下げることと同意義である。そうすると何のための税率引き上げとなるのだろうか。

ピケティの『21世紀の資本』にも法人所得税は「源泉徴収」であるという言葉が自然に出て来るが、経済学的に標準的な考え方である。

サッチャリズムやレーガノミクスのサプライサイド・エコノミクスによって、・・・・・

「年末調整」の制度は、第二次大戦中のナチス・ドイツの発明に係るものである。

2019年10月 2日 (水)

出口治明『リーダーは歴史観をみがけ 時代を見とおす読書術』中公新書ラクレ

司馬さんの持ち味は、展開のおもしろさのために都合のいいエピソードをうまくピックアップしてみせるところで、歴史本来の事実関係とは別のものになっています。

歴史を見る場合、基本となるのは次の2つ。ブローデルも指摘している気候と、そして交易です。

交易とは、たんにモノが動くだけではなく、人が動くことで病原菌も一緒に移動する。

ネーションステートが完成したのは、ヨーロッパの「1848年革命」というのが、今日の多くの学者の見解です。

日付の特定できる最古の印刷物は中国の敦煌で発見された金剛経(868年)だった。

ダンテの「神曲」は、トレードの工房で翻訳されたムハンマドの天国と地獄への旅を扱ったイスラームの物語「階梯の書」から多大のインスピレーションを得ている、と言われている。

4000年前に書かれた「ギルガメシュ叙事詩」に登場するレバノンスギ。

岩倉使節団が最も感銘を受けたのは、ドイツ帝国宰相ビスマルクとの会見だったと言われている。

タカラガイは均一性、希少性、持続性という現代のビットコインと共通する性格を有し、・・・

フランス料理はバクダードの宮廷料理から始まったといわれている・・・

イスラム法は行為規範であって、義務、推奨、中立・許容、忌避、禁止という5つの範疇がある。

物事を論じる時には、まず、言葉の定義を明確にしなければならない。

ナショナリズムとは劣等感と不義の関係を結んだ祖国愛である。

ブローデルは間違っていると断言し、ホイジンガの先駆性を評価する。ブルクハルトとホイジンガが過去200年間で最も優れた歴史家なのだ。

自分が生まれる前のことについて無知でいることは、ずっと子供のままでいることだ。

2019年9月27日 (金)

篠田英朗『ほんとうの憲法―戦後日本憲法学批判』ちくま新書

そもそも憲法9条1項は、1928年不戦条約(ケロッグ=ブリアン協定)の焼き直しである。

アメリカ独立宣言や合衆国憲法は、「nation」の主権といったフランス革命的な考え方を採用せず、ただ「people」が全ての権力の源流であることだけを宣言した。

アメリカのおける人民(people)に依拠した概念構成は、イギリス名誉革命期のジョン・ロックの社会契約論の理念によって最も鮮明に説明される。

憲法問題研究会は、明白に護憲派の集まりであった。

美濃部が、ドイツ国法学の雄と言えるイェリネックに強い影響を受けていたことはよく知られている。

«細川昌彦『暴走トランプと独裁の習近平に、どう立ち向かうか?』光文社新書

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