坂本孝司『会計で会社を強くする』TKC出版
1673年フランス商事王令。この法律の目玉は、商人に記帳と決算書作成を義務づけたことでした。それだけではありません。この法典には「破産時に帳簿を裁判所に提示できなかった者は死刑に処す」という、とてつもなく厳しい罰則が用意されていたのです。そして、違反者には実際に死刑が執行されたというから驚きです。
決算書は誰に報告するものでもない、倒産を防止するために経営者が自らに報告するために作成するものである。
パチオリの簿記書には、その冒頭に「商売繁盛には三つの条件がある」と書かれていました。それは、①十分な資金力を持たなければならないこと。②会計業務に携わる者は誠実さや廉潔性を保ち、かつ熟達した技能を持っていなければならないこと。③すべての取引を秩序正しく適切に記帳処理しなければならないこと。
経営戦略の策定に当たって、ほとんどの中小企業は、ランチェスターの原則に従って、強者の戦略ではなく弱者の戦略を採用するべきでしょう。
わが国会計学の最高峰である武田隆二教授によると、簿記とは以下のとおり。さすがですね。「企業は営利を目的として活動する。したがって、企業活動は、利益獲得という目的を達成するために営まれる経済活動であるといってよい。このような企業の経済活動の良否を判断するためには、一定の期間を区切って、その期間に生じた経済活動を振り返って反省する必要がある。また、その反省をもとにして、将来の活動の方針を立てる必要も生じるはずである。このような意味での反省と将来の計画設定のためには、そこになんらかの基礎となる手段がなければならない。かかる手段を提供するものが簿記であるといってよい」武田隆二『簿記Ⅰ』税務経理協会。
これから話すことは、会計学の試験で書いたらペケをつけられるから、覚えてはだめですよ。
「商業帳簿は文書の側面があり、他の人々に対する証拠資料として用いられ得る。他の側面は、商品にその業務の状況に関する一目瞭然性を提供する補助資料であることである。フランス商法の理由書が述べるように、その正規の簿記(「正規の簿記」とは、適正な決算書の意味)は几帳面さとまともさを証言し、かつ、運命の神の変動に対する防御に役立つ。無秩序な簿記は破産者の特徴である。それが商業簿記の重要性とその正規な記帳の必然性の理由である」。僕は夜中に、できないドイツ語を一生懸命翻訳しながら、この一節を見て泣きましたよ。ドイツ人はすごい。この言葉をなぜ日本の商法の専門書は商業帳簿のところに書かないのだろう。
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