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2009年2月24日 (火)

中尾政之『失敗の「予防学」』三笠書房

人間は必ず失敗する動物である。しかも同じような失敗を繰り返す。ゆえに失敗は数が多くとも、互いに類似する。

1件の重大災害の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、さらにその裏にヒヤリとしたり、ハッとした300件の体験がある。これを「ハインリッヒの法則」別名「1対29対300の法則」といわれ、1929年にアメリカの損害保険会社のハインリッヒ氏が導いた法則である。

どんな失敗や事故も共通ルールに従って起きており、その共通ルールを常に頭に入れておけば将来の失敗や事故が未然に防げる。

重要なことは、失敗したことをただただ反省することではない。また失敗した人を責めることでもない。失敗を引き起こした仕組みやシステム、構造に着目して改革することにある。失敗学は、失敗を見過ごしたり、無視したり、隠匿したりせず、これに真っ向から取り組んで、解決策をルール化することである。

おごるな、隠すな、我が身を正せ。

失敗は情報であり、知識であり、知恵である。

似ている失敗を探せば7割の確率で見つかるのだ。

特に重要なのは「良い報告」ではなく「悪い報告」である。顧客からのクレームや事故の発生、取引先の経営悪化といった悪い情報こそ、いち早く「ホウ・レン・ソウ」しなければならない。すぐに善処しなければ、それこそ命取りになってしまうからだ。

大学の研究でも、セレンディピティによる「ひょうたんから駒」の大発明が、大失敗の後に起きることがある。

もしあなたに部下がいるなら、「怒らないから、悪い報告こそ直ちに伝えよ」と教えておかなければならない。そして報告されたら絶対に怒ってはいけない。

労働災害の専門家によれば、経営者などのリーダーが意識して安全管理に取り組んでいるか否かで、罹災率は3倍も違ってくるそうである。

「失敗」というのは、実は事前にちゃんと「イエローカード」が出ているものである。それに気づくかどうか、ここが重要である。

「過ちをすな。心して下りよ」と『徒然草』にもある。

ハンコを項目ごとに押すようにシステムを変えるとよい。それもどっちが上かわからぬような丸いハンコで、朱印でひとつひとつ押させるのである。

無知、無視、過信は「失敗の3悪人」。

天知る、神知る、我知る、子知る、である。悪事は公開して誤ったほうが損失は小さい。

組織にとって、隠すのは損である。普通は隠すと10倍返しである。

大事故になればなるほど、予兆が必ずあって、神様は何度もサインを送っているのである。

マニュアルの設計者も“裏技”が生まれないように、つぶさにチェックしなければならない。

もし、あなたの会社や、あなたの会社の商品に対して顧客からクレームがあったとしたら、それは1件だけにとどまらない。まだまだ多くの取引停止予備軍が潜在的に存在していることを覚悟しておかなければいけない。クレームの怖さは、クレームを示さない96%のうち91%は二度と来店しなくなることにある。

重要なことは、一度起こした失敗を二度と繰り返さない方策を、できるだけ具体的に打ち立てることである。

世阿弥も『花伝書』の中でいっているが、面白いことは新しいことであり、花も散るから美しい。どんなに面白い芝居でも、何度も見ると見飽きてしまう。マンネリを避けるには、自分たちの組織の中に絶えず新しい人種を入れることである。経営者のイエスマンだけでは、お家の一大事のときに提案される対策案はすべて同じになりかねない。全滅を避けるための大事な知恵である。

愚直に、ひとつの作業の終了を確認してから別の作業を指示するという段取りを組まなければミスが発生してしまうのである。

①決して叱ってはならない、②すぐに対処する、③報告から解決策の立案までを、指導しながら一緒に考える。

フォードにとって誤算だったのは、この人命をカネに換算するという体質が露呈したことであった。

企業にとって優先順位の筆頭はコストではなく、ブランドなのだ。

社是社訓というのはいちばんできていないことが書かれているものだ。

社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。

リーダーというのは、常に最悪の事態を想定して対策を講じておくことが肝要である。ヒューマンエラーを防ぐには、もっと注意しろと怒鳴っても効果があるわけではない。きちんとしたシステムを構築し、人為的なミスや失敗をフォローする態勢をとらなければならない。これらのフォローシステムがきちんと機能するようにダブルチェック、トリプルチェックが必要なのである。

経営でも仕事でも、いちばん大切なことは正しい現状把握なのだ。見たくなくとも、現実をきちんと見なければ、正しい分析、正しい対策などが生まれるわけがない。

失敗することがわかったとき、重要なことは、被害、損失、コストを最小限に抑えることに尽きる。

常識は8割正しい。しかし、残りの3割は間違い。

国際センスのある経営トップならば、契約書を取り交わすとき、「日本での裁判の決定に無条件にすべて従う」という一文を明記することを忘れない。

①他山の石の法則・・・他人の失敗情報を含めて真摯に事例分析して類似性を認識すべきである。失敗のナレッジマネジメントの奥義である「人のふり見て我がふり直せ」を実践することが重要である。

②慢心の法則・・・慢心・過信・自分勝手な人は、失敗情報を看過し、反省に耳を貸さず、失敗の予兆もとらえることができない。

③隠蔽の法則・・・失敗の事実を隠すと、発覚後に10倍の損失を請求される。正直にデータを公開して原因調査すべきである。

⑪大本気の法則・・・失敗後の行動指針を、あらかじめ社是として設計すべきである。顧客である消費者のことを第一に考えるべし。火消しよりも火の用心が大事である。

⑬希望的観測の法則・・・行動するときは、事前に仮想演習すべきである。将来を想定できれば、失敗が仮に起きても、イメージトレーニングができているので、失敗の共通ルールを導いてリスクを予測・回避できる。

⑭慣性の法則・・・企画変更すべきときに、不作為を決め込んではいけない。

⑮油断の法則・・・失敗後は精神的な対症療法でなく、構造的な根本対策を採用すべきである。災い転じて福となすために。

22失地挽回の法則・・・失敗後に、いつもの視点を変えて見ると、逆転のための別の解決策が見つけられる。転んでもタダでは起きないこと。自分の組織を成功させるために、使命感を持って失敗に向き合うべきである。

「おごるな、隠すな、我が身を正せ」は、それぞれ①、②、③の法則にあたる。また、「我が身を正す」ための事前準備は⑪、⑬の法則にあたる。「我が身を正す」ための事後処理は⑭、⑮、22の法則にあたる。

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