宮崎哲弥『新書365冊』朝日新書
カントの定言命法「道徳的に善い行いをせよ!」は、現実世界に生きる私たちの「良心」を引き裂く。「良心」に基づく行為は、常にどこかで見返りを期待している。従って、それは善とはいえない。最高善は「この世」のものではないのだ。留保なしの善の命令に「良心」を打ち砕かれることによってのみ、そして「善く生きる」ことの不可能性を思い知ることによってのみ、私達は道徳的存在になり得る。
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