金井壽宏『組織変革のビジョン』光文社新書
トップが大きな絵を描き、人びとを巻き込み、ミドルがその絵と両立する自分なりの絵を描き、さらに若手を巻き込んでエンパワー(元気づけ)する。そこで、顧客との接点である現場で顧客が喜んでくれる真実の瞬間が起こり、それが上にフィードバックされて会社もトップも元気になる。
テイラー以前には「標準」というものを、測定し設定するという発想すらなかった。
組織に所属するものは、インコンピテエンス(無能)レベルまで昇進する。
ある世界の頂上で有能であっても、別の社会へ横滑りを繰り返せばやがて無能レベルに達する。
ひとを束ねているけれど、与えられたことをきちんと皆にやってもらうマネジャーに移行するステップがあり、さらに自分で絵を描いて(権限に基づいてではなく)、変革のシナリオを練り上げてそれを実行するリーダー・レベルへの筋道がある。
ゲーテの名作『ファウスト』の「悲劇第一部」は、「いやはや、これまで哲学も、法律学も、医学も、むだとは知りつつ神学まで、営々辛苦、究めつくした」ではじまっている。
一生懸命考えている人ほど、即効薬や万能薬がないことを知っている。
会社をよくする特効薬はない。もしあったらよい会社ばかりになる。
同じ開発の仕事でも、立ち上げの段階から、あとでかかわってくるひとに頭を突っ込んでおいてもらったほうがいい。
大きな原則は変えてはならない。
安定こそ不安定であり、不安定が安定である。
企業が困難に直面するのは、いつもその企業自身に原因があります。もちろん経済環境も無関係ではありませんが、問題の根源はつねに企業自身にあるのです(ゴーン)。
組織変革で臨床心理学アプローチが意味を持つ最大の理由は、個人が変わらなければ組織は変わらないという点にある。
組織変革が失敗に終わる八つのつまずきの石(コッター)
- 現状満足を容認してしまって十分な危機感がない
- 変革を進めるのに必要な強力な連帯を築くことを怠る
- ビジョンやミッションの重要性を過小評価する
- 従業員にビジョンを十分にコミュニケートしない
- 新しいビジョンに立ちはだかる障害の発生を放置してしまう
- 区切りごとに成果、進捗を確認することを怠る
- あまりに早急に勝利を宣言する
- 変革を企業文化に定着させることを怠る
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