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2009年4月 4日 (土)

ドラッカー『経営者の条件』ダイヤモンド社

まず第一に、する必要のまったくない仕事、すなわち、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、排除しなければならない。そのような時間の浪費を見つけるには、時間の記録に出てくるすべての活動について、「まったくしなかったならば、何が起こるか」を考えなければならない。答えが「何も起こらない」であるならば、明らかに結論は、その仕事はただちにやめよということになる。

通常使われている意味での権限委譲は、間違いであり、人を誤らせるものである。しかし、自分がなすべき仕事を委譲してしまうのではなく、まさに自分がなすべき仕事に本当に取り組めるようになるために、ほかの人間にできることは任せてしまうことこそ、成果をあげるうえで最も重要なことである。

知識労働者は“物”を生産しない。アイデアや情報や概念を生産する。知識労働者は、ほとんどが専門家である。事実彼は、通常、一つのことだけを非常によく行えるとき、すなわち専門化したときにのみ、大きな成果をあげる。専門家の産出物は、ほかの専門家の産出物と統合されて初めて成果とすることができる。自らの産出物たる断片的なものを生産的な存在とするためには、それを利用する者に、何を知ってもらい、何を理解してもらわなければならないかについて、専門化自身に徹底的に考えさせることである。

組織において、力強くはあっても腐ったエグゼクティブほど、ほかの者を腐らせる者はいない。影響力のある地位に置くならば破壊的である。

これまで述べてきたことのすべては、2000年以上も前に、ヒポクラテスが医療診断のための原則として定めたものである。さらにまた、科学的観察のための原則として、アリストテレスが定式化し、300年前にガリレオが確認したものである。

行わなければならない意思決定は、満場一致で行えるようなものではない。相反する意見の衝突、異なる視点の対話、異なる判断の間の選択があって、初めてよく行いうる。最も重要なことは、意見の不一致が存在しないときには、意思決定を行うべきではない。

意思決定の意味について完全に理解しているという確信なしに、意思決定を急いではならない。ソクラテスが[神霊(ダイモン)]と呼んだもの、すなわち[気をつけよ]とささやく内なる声に、耳を傾けなければならない。

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