ABC分析
■ABC分析とは
ABC分析は、購買する物品のうち同一分類のものだけを集め、その中をA、B、Cの3グループに分類し、Aグループを最重点の管理対象とし、Cグループは打切るか管理の対象から外して管理の手間を省こうとする考え方である。
全体の売上の中で70%を占めてしまっている上位のグループがAであり、その下の25%位を占めるグループがBであり、残りの5%に貢献しているグループがCである。ところが、このABCの各グループを数の割合でふり分けると、Aのグループは15%から20%ぐらい、Bのグループは25%から30%ぐらい、Cのグループは30%から40%ぐらいになってしまうのである。前者のように金額の貢献度でABCを分ける方法をダラー・コントロールとよび、後者のように、数の割合で分ける方法をユニット・コントロールという。
ABC分析は、購買管理の外に、顧客管理や商品管理などにも広く応用されている。購買管理の場合であれば購入品在庫管理の重点をどの品目におくかを示し、顧客管理に適用する場合であれば重点顧客や将来の有望顧客の抽出に、また商品管理に適用する場合には今後の商品展開の追及などに役立てることができる。
イタリアの経済学者であるパレートが、経済変動の分析に使用したのがそのルーツなので、「パレート分析」というのが本来の名称です。
■ABC分析の方法
ABC分析の手順を購買管理の場合について示すと次の通りである。
- 購入資材のうち、同種の品目をグループ化し、その中を出庫金額の多い順に並べる
- 全品目の総出庫金額に対する各品目の出庫金額比率を算出する
- 出庫金額比率を上位から順に累積して累積百分比を作る
- グラフの横軸に上位品目から順次品目名を記入し、縦軸に各品目に対応する累積出庫金額比率を打点し、直線で結ぶ
- 累積出庫金額比率の70%と90%の折線上の点から横軸に垂線をおろす
- 累積出庫金額上位約70%の品目をAグループ、次の約70~90%の品目をBグループ、残り約10%の品目をCグループとすると、品目数ではAグループでは約10%程度、Bグループには約20%程度、Cグループには約70%程度の品目が含まれるとされている
- A品目は重点管理を行い、B品目はA品目に準じた管理を行う。C品目は管理の手間を省き、また必要品目のみ残してその他の品目は逐次整理をしていく
■各グループのメリット・デメリット
1.Aグループ
Aグループという顧客は一番八方美人であり、油断するとすぐに敵方にいってしまう恐れがある。
2.Bグループ
Bグループは「精密管理の要あり」といわれて、数が多いために顧客管理が粗雑になってしまう。Bグループには、プラスとマイナスのグループがある。プラスのグループは、“イノベーター”などといわれたり、“明日の担い手”などとよばれる得意先や顧客のことである。マイナスのグループは、昔Aグループに属していたのだが、その後次第に実績が下がってきてBグループに落ちてきたというのがある。
3.Cグループ
Cグループは、Aグループよりもはるかにファンになっている得意先や顧客が多い。Cグループの中には“シンデレラ”といって、極めて大切な得意先も混じっているのである。
4.その他
商品の時系列的推移、そして地域特性も一定考慮しなければならない。
桑田秀夫『生産管理概論』、筒井信行『あなたの経営分析はまちがいだらけ』、田岡信夫『社長の営業戦略』、野口吉昭『セルフコンサルティング』
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