覚えておくべき「Ifシナリオ」のパターン
■売上関連パターン
1.「売上横ばい+利益頭打ち」のパターン:この場合は、売上面とコスト面の両方を調べなければならない。ただし、常に売上面の分析から始めるようにしよう。売上の構成がどのようになっているのかを理解しなければ、コスト面の分析でも適切な意思決定ができないからである。
2.「売上横ばい+シェアほぼ一定」のパターン:この場合は、業界全体の売上規模も横ばいであり、競合他社も自社と同様の問題を抱えていることが予想される。
3.「売上減少が問題となっている」パターン:この場合は、以下の3点を分析する。
- マーケット全体の需要が落ち込んでいないか?
- 市場が飽和状態に達していないか?。または、自社の製品が時代遅れのものとなっていないか?
- 代替品との競争によって、マーケット全体が縮小していないか?
4.「売上とシェアが増加しているにもかかわらず、利益が減少している」パターン:この場合はまず、商品の価格が下がっていないかという点と、自社のコストが増加していないかについて調べる。これらが主な原因でなければ、次は、各商品の売上構成比率(プロダクト・ミックス)がどのように変化しているか、商品別の利益率に変化がないかといった点を調べる。
■利益関連パターン
1.「売上減少が原因で利益が落ち込んでいる」パターン:この場合は、マーケティング活動と流通チャネルに関連する項目に焦点を絞って分析を行う。
2.「コスト増加が原因で利益が落ち込んでいる」パターン:この場合は、売上原価、人件費、事務所家賃、マーケティング費用に焦点を絞って分析を行う。
3.「売上が増えているのに利益が落ち込んでいる」パターン:この場合は、以下の項目について調べる。
- コストがどのように変化しているか?
- 特殊な費用や一時的な費用が発生していないか?
- 商品の価格がどのように変化しているか?
- 各商品の売上構成比率が、どのように変化しているか?
- 顧客のニーズが変化していないか?
■商品関連パターン
1.商品が導入期にあるとき:この場合は、R&D、競合品の状況、商品の価格設定に焦点を絞って分析を行う。
2.商品が成長期にあるとき:この場合は、マーケティング活動と競合の状況を重点的に分析する。
3.商品が成熟期にあるとき:この場合は、製造活動、コスト、競合の状況を重点的に分析する。
4.商品が衰退期にあるとき:この場合は、ニッチ・マーケットが存在するか?。競合はどのような行動に出ているか?、といった点や、撤退の方法(出口戦略)について分析を行う。
■価格関連パターン
1.値下げを行った場合の波及効果:商品の値下げを行った場合には、一般的に次のような波及効果が生じると考えられる。値下げを行う→販売量が増える(一時的には売上高と利益が増加する可能性あり)→生産量を増やす必要が出てくるが、一定の段階を過ぎると現有の生産能力を超えてしまう→生産設備の追加購入や従業員の残業増加等により、コストがかさむ→利益が落ち込む
2.価格が安定する条件:価格が安定するのは、次の3つの条件がすべて満たされる場合のみである。
- 業界内の全企業の成長率がおよそ同じである
- 業界内の全企業の価格水準がおよそ同じである
- 商品の価格水準とコストの水準がおよそ比例している
3.生産量やコストを変化させることに比べて、価格を動かすことは一般的に困難である。この例外としては、業界内のほとんどの企業が、いっせいに価格を動かす場合が挙げられる。
4.コストが高い体質の企業にとっての最善の価格戦略は、「いくら価格を動かしたところで、短期的にシェアが大きく変化することはないので、できるだけ高い価格を維持し続けることが、皆にとってメリットとなる」ということを、他者にわからせることである。これは、価格競争は業界内の企業にとってマイナスの影響を及ぼすものであり、すべての企業が高価格を維持することによって、業界全体の収益性が増すということを意味している。
■その他の一般的なアドバイス
- インターネットがどのような影響を与えるか?
- マクロ経済情勢や景気動向がどのような影響を与えるか?
- 業界内部や外部(代替品市場)における競争がどのような影響を与えるか?
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