ビジョンと戦略
「ビジョン」は委員会が生み出すものではない。分析によって触発されるものではない。経営コンサルタントが料理するものではない。
「ビジョン」とは激しく過激な愛のことだ。
■ビジョンと戦略
ビジョンには、普遍的な部分と適応的部分が存在します。適応的部分とは、時代時代に合わせて変わる戦略に基づくものです。普遍的なビジョンは、その会社が社会において担っている大きな使命(経営理念)であり、適応的なビジョンは、戦略に基づいた具体的な目標です。常に普遍的なビジョンが上位概念であり、それに基づいた適応的ビジョンとの一貫性が求められます。
ビジョンのもとに、どう競合と戦うか優先順位と資源配分を見極めたものが「戦略」となり、そのビジョン・戦略を実行可能な計画に落とし込んだものを「戦術」と呼びます。
ビジョン
- 自分の使命(この世で自分に課せられていると思うこと)が明確である。
- その使命は大儀にかなっている。
- その使命に基づいて具体的な目標がある。
戦略
- その目標に時間軸が入っている。
- 自分の強み、弱みを把握し、それぞれを補うポイントをつかめている。
- 時代・場所・国を把握するなかで、右の目標が時間軸において達成可能かどうか、できるかぎり確認してある。
- ヒト・モノ・カネ・情報が、それぞれ目標達成に必要なだけ調達が可能と思われる。
■市場規模の確認
(年間メーカー出荷金額)+(年間メーカー出荷金額×流通マージン)≒(全ユーザー数)×(1ユーザー年間購入金額)
■ビジョナリーコンシステンシー(それぞれの知識を集積して統合し、すべてのレベルでビジョンを整合させること)
- 大組織病・・・組織の肥大化で重要な政策決定に時間が費やされ、市場への対応が遅い。
- 発想の陳腐化・・・既存事業の立て直し、新規分野参入、新製品開発を早くしたいのに、ものの見方・考え方が画一的で大きな発想の転換ができない。
- 低い利益率・・・グローバルな競争が激化するなか、商品・サービスの差別化ができておらず、利益が十分でない。
- 戦略情報システムの不備・・・氾濫するデータのなかで各事業部の事業特性が把握しきれないまま、未整理・未確認の情報をもとに重要な意思決定を行わざるをえない。
- 企業風土の妨げ・・・核の企業カルチャーから逸脱できず、前年比ベースの売上目標、売上比率の予算配賦・人員投入・投資計画がとられているため、各事業が育成できない。
- 年功序列の人事制度・・・コストの高い人の生産性が低く、やる気があって結果を出せる人が報われていない。
- コスト意識の欠如・・・働く人一人ひとりが、自分の時間を含めてコスト意識が少なく、無駄な作業が多い。
小泉衛位子『経営の真髄』
■戦略とビジョンの関係
戦略は、個人や企業が将来的に「どうなりたいか」や「どうありたいか」といった理想像-ビジョン-を反映する。そして、ビジョンは、個人や企業にすすむべき方向性と実現すべき目標をあたえる。
谷口和弘『戦略の実学』
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