棚卸資産:棚卸資産の付随費用と重要性の原則
■付随費用には、次の2種のものがある。
①外部付随費用:引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等
②内部付随費用:買入事務費、検収費、整理費、選別費、手入れ費、移管費、保管費等
■法人税法
法人税法の基本通達では、外部付随費用は個別に識別可能であるところ、取得価額に算入することとし、内部付随費用についてのみ事務の簡素化の観点から、重要性の原則の適用を認めている。すなわちその費用の合計額が商品の購入代価のおおむね3%以内であれば、商品の仕入総額に含めることなくそのまま全額経費として処理することができる。
■会計
重要性の原則の適用が、企業会計原則よりも法人税法のほうが狭い。この点に関し、企業会計原則では、「たな卸資産の取得原価に含められる引取費用、関税、買入事務費、移管費、保管費等の付随費用のうち、重要性の乏しいものについては、取得原価に算入しないことができる」としている。つまり、会計では、外部付随費用である引取費用及び関税に対しても重要性の原則の適用を示唆している。
■季節商品の保管料
商品の保管を委託した場合の通常の保管料は、商品の取得価額に算入しないで費用科目で処理できますが、特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要する費用は、原則として商品の取得価額に算入することとなります。したがって、その保管費用は仕入勘定に計上します。
(購入した棚卸資産の取得価額)
5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。(昭55年直法2-15「五」、平19年課法2-17「十」により改正)
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注)
1 (1)から(3)までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-9までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
武田隆二『最新財務諸表論』、戸田税務会計事務所『「会社の税金」まだまだあなたは払い過ぎ!』、上杉秀文『消費税の課否判定と仕訳処理』、武田隆二『法人税法精説』
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