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2009年5月29日 (金)

バランス・スコアカード

■バランス・スコアカードとは

体系的に財務情報と非財務情報の併用によって事業業績を測定評価し、将来の事業方針を明らかにするツールとして注目されているのが、バランス・スコアカードです。

バランス・スコアカードは、組織のあらゆる階層にわたって財務的および非財務的指標を「バランスよく」設定すると同時に、下位下層と上位下層間の業績指標の関係や財務指標と非財務指標との関係を体系的にまとめあげている点にあります。

■4つの視点

バランス・スコアカードには、財務的視点、顧客の視点、社内プロセスの視点、そして、学習と成長の視点という4つの視点から業績指標を設定することが推奨されています。

なぜ4つの視点から業績指標を設定することを推奨しているかというと、それは、できるだけ少ない視点で企業業績をよりよい方向に導くことを意図したからです。

財務的視点:事業利益・使用総資本利益率・投資利益率・EVA・売上高伸び率・新製品/新サービス売上高占有率

顧客の視点:顧客満足度・顧客定着率・新規顧客獲得率・ターゲット顧客層の市場占有率・既存顧客層の売上成長率・顧客別収益性・製品開発リードタイム

社内プロセスの視点:労働生産性・作業能率・品質に関する諸指標・サイクルタイム・新製品売上構成比率

学習と成長の視点:従業員満足度・離職率および従業員定着率・1人当たり売上高・1人当たり付加価値

■因果関係

4つの視点には、因果関係があります。4つの視点に関する因果の方向は、一方向ではなく、それぞれの視点相互間で双方向に存在することを忘れてはいけません。

■適用上の留意点

まず、一番大切なことは、非財務的指標を最終的には、財務的指標に関連付けて体系的なスコアカードを完成させることです。非財務的指標を財務的指標と併用してマネジメントを行う試みはたくさんありました。これらとバランス・スコアカードが一線を画するのが、非財務指標を財務指標へと変換することなのです。

第二に肝要なのは、各視点に関して、あまりにも多くの指標をバランス・スコアカードに表示しないことです。

第三は、顧客満足度のような結果指標(事後指標)とそのような結果を導くための達成目標指標(事前指標)とを混同しないことが重要です。

加登豊『管理会計入門』

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