資金繰りを改善する方法
■上坂説
- 利益を上げる
- 固定的な経費を削減する
- 在庫を減らす。月次の棚卸を無視した月次決算は全く意味をなさない。どうして売上が伸びたか。どうして在庫が膨らんだか。売上が伸びているのにどうして利益が減少したか、現金がなくなっているのはなぜか。
- 支払の期日を延ばす
- 収入の期日を短期間にする
- 借入金を利率の低いものと入れ替える
- 設備投資をしない
- 増資をする
■日野上説
- 付加価値の高い商売にする
- 経費の削減に努める
- 掛売り、手形売りの比率を少なくする
- 容易な借入れはしない
- 仕入支払い、経費の支払いは先延ばしにしない
- 売上げと仕入れ、回収と支払いの費用収益の対応を社内に植付ける
- 容易な設備投資にならないようキャッシュフローを許す範囲を守る
- 税引後利益による自己資本充実を計る
- 自己資本比率を高める
■資金繰りをよくする7つの方法(楢山説)
- 売掛金の徹底回収
- 在庫の徹底圧縮
- 売上を前受金で受け取る
- 買掛金の支払条件を変更する
- 受取手形の現金化
- 仮勘定などを決算書からなくす
- 固定資産(不良資産)の現金化
■資金繰り悪化は、「運転資金増加」、「固定資産への投資」、「借入金返済」が3兄弟!
■目標は現預金を増加に転じさせること、売上を増やし費用を減らして、それから回収と支払いのサイトを見直して運転資金の増加を抑えること、そしてできるだけ無駄な在庫を持たないこと。
■企業の資金繰りを根本的に変えるには、①受取手形、②売掛金、③在庫、④支払手形、⑤買掛金の残高の増減を管理し、この5勘定の持ち方を改善するしか方法はありません。必要な運転資金はこの5勘定の増減から生み出されます。本勘定以外のその他の勘定はすべて仮勘定と位置づけ、即刻返済してもらうか、損失として償却処理しなければなりません。具体的に言えば、立替金、仮払金、貸付金、役員貸付金等の資金を回収することからスタートします。実際、金融機関の融資責任者は、提出された決算書から仮勘定は企業の損失として捉え、利益との両落しで圧縮して見ています。
■資金繰り計画作成の注意点
- 資金繰りを組むために必要な事項(正確なBS残高)
- 特に重要な営業の売上予定
- 銀行別の手形割引枠の把握
- 3か月間の回収予定と回収内容
- 3か月間の支払予定と支払内容
■資金繰り予定表の作成手法
- 売掛金の回収を総額でつかむ
- 買掛金の支払を総額でつかむ
- 経常資金の過不足には手持ち資金を含めない
- 外部調達は受取手形の割引から行う
- 支払手形の期日までの期間は常に資金繰りを組む
棚橋隆司『財務革命』、楢山直樹『経営をよくする会計』、上坂朋宏『会計士が贈る経営のヒント』、日野上輝夫『会社を潰す経営者、立て直す経営者』、棚橋隆司『これで企業財務はよみがえる!』、近藤学『「儲からない」と嘆く前に読む会計の本』
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