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2009年5月 7日 (木)

借入金について

■借入金は、普通、長期と短期とか、運転資金と設備資金という風に分類するが、資金運用先の観点から、次の4種類に分けることもできる。①運転資金、②設備資金、③赤字補填、④余剰資金

赤字補填の借り入れとか、返済のための新たな借り入れの保証人には絶対になってはいけません。なぜならば、赤字補填は黒字になる構造改革がなければ、同じことの繰り返しで無駄金になるだけだからです。しかも、返済のための借り入れは返す銀行を助けるだけです。

■資金不足になる原因は大きくいって2種類しかない。それは、短期的な原因と長期的な原因の2つだけである。

  • 長期的な原因:①経常運転資金、②赤字資金、③設備投資資金
  • 短期的な原因:①つなぎ資金、②季節資金、③納税資金・賞与資金

■資金不足の原因

  1. 回収の約束を守れなかったための資金不足
  2. 見込み違いの仕入による過大在庫の支払資金不足
  3. 工事などが長引き支払が先行しての資金不足
  4. 数か月続いた売上不振による資金不足
  5. 赤字の現場が発生したための資金不足

返済で最も大事なことは、利益によってのみ、それが可能となることであって、この原則を外さないことである。利益が出ていないのに、借入額を減少させるには、①手元預金による返済、資産売却による返済、②経営者からの借入金の債務免除、銀行の債務免除(中小企業には可能性がほとんどない)、③増資による資金での返済等がある。これらは儲からないゆえの対策であって、消極的借入返済策である。多くの中小零細企業の経営者は、難事の対応力に乏しく、決断もまた鈍いようである。資金繰りにのみ頭を使い、根本的な解決法に向かわない傾向にある。しかし、このことが致命傷になるケースがすべてといっても過言ではない。

■債務償還年数

有利子負債/(営業利益+減価償却費)

五年以内が安全、十年までが最長限度である。年商を上回る借入金は、絶対にしてはいけない

■借入金依存度

借入金/平均月商

三ヶ月を超えたら要注意、五ヶ月を超えたら借金過多で重症です。

■年間の本業CFと年間の返済額の関係

返済は本業CFからなされます。本業CFとは、税引後利益に減価償却費を繰り戻したものです。よって、年間の本業CFと年間の返済額の関係は、

年間の本業CF>年間の返済額、となる必要があります。

もう1つチェックしておきたいことがあります。それは、今の借金総額が、年間の本業CFの何倍(何年分)になっているか、です。

借金の総額/年間の本業CF=何年分?

もし10倍なら、今の利益を維持し続けた場合、10年で完済できる収益力がある、ということです。

当面の目標として、借金の上限を年間粗利の80%以下に抑えることを目指してください。

■借入金が増加している場合には、以下の点の検討が必要になります。

  • 営業CFで借入金を返済する場合の、債務償還年数
  • 借入金で調達した資金がCF計算書上のどこに向かったか
  • 固定比率・固定長期適合率等の安全性諸比率がどのように変化したのか
  • 担保・保証関係は十分カバーされているか
  • 支払利息の負担がどの程度増加するか
  • 営業利益の何%が支払利息の負担で消滅するか
  • 借入金の月商倍率は何倍か(一般的には商業で3倍、製造業で6倍が限度)
  • 借入は事業計画に準拠したものである

■短期借入は資金繰りを悪化させる

■流動資産が多ければ短期借入を、固定資産が多ければ長期借入を。10年かかるというような長期の固定資産については、10年の長期借入を選択するのです。

■借入を返すための返済原資は税引後利益と減価償却費だけです。それ以外の要因で返済原資ができることは絶対にありません。

■役員借入金は、会社の資金繰りが悪いことがわかってしまいます。

■支払利息は、売上総利益の5%が上限

売上総利益×5%=支払利息上限

支払利息上限÷調達金利=適正借入額

■借入金について整理

  1. 借入金がいくらあっても資金繰りができていれば、とりあえず会社は潰れない
  2. 借入金はこれを全部返済できるだけの資金や資産(現預金・売掛金、商品、有価証券)と不動産を所有していればよい
  3. 借入金の約定弁済ができる営業利益が毎朝確保されていればよい
  4. 借入金に見合った増資や社債が発行できて引き受けてくれる人が常時周りにいればよい
  5. キャッシュフローを拡大できるために経費や仕入価格がすぐに下げられるようになっていればよい

近藤学『「儲からない」と嘆く前に読む会計の本』、日野上輝夫他『“儲けたい儲かる儲かった”の実戦社長学』、都井清史『新しい会計基準』、楢山直樹『経営をよくする会計』、小堺桂悦郎『借金の王道』、棚橋隆司他『これで企業財務はよみがえる!』、洲山『銀行にカネは返すな!』、立川昭吾『隣の会社は「なぜ?潰れないのか」』、和仁達也『脱☆ドンブリ経営』、上坂会計編『社員10人までの小さな会社の資金繰りがよくわかる本』、青木三十一『「資金繰り地獄」から抜け出す本』

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