交際費:情報提供料
■事業者でない者に支払う情報提供料は交際費とするのが原則だ。契約書が交わされないものは情報提供の内容が明らかでないから、任意の社交儀礼的な支払いと同じものと捉えられるからだ。逆に、あらかじめ締結された契約に基づく支払いであれば、相手が非事業者であっても交際費ではなく正当な業務の対価として経理することができる。
■法人税法において損金算入される「情報提供料」とは、情報提供、取引媒介、代理、斡旋等の役務提供を専門としていない一般の方に対して、事前の契約に基づいて支払われる相当な金額の対価をいいます。情報を専門とする業者に対する支払いは、当然ながら、支払手数料などとして損金の額に算入されます。なお、商売上の情報提供の対価であっても、取引先の従業員や役員に対する支払いは交際費です。
また、情報提供料に規定する契約とは、会社と情報提供者の両者が記名捺印するといった正式な契約書の締結まで要求しておらず、「お客さま紹介キャンペーン」などのチラシの掲示・配布でもかまいません。紹介する人が、情報提供の結果として正当な対価を受領できる事実を認識していることが必要なのです。そのため、たまたま顧客を紹介した人への謝礼や、紹介者の地位等により支払額をそのつど変えたりする場合には、それらの支払いは交際費となります。
(情報提供料等と交際費等との区分)
61の4(1)-8 法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供(以下61の4(1)-8において「情報提供等」という。)を行うことを業としていない者(当該取引に係る相手方の従業員等を除く。)に対して情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、その金品の交付につき例えば次の要件のすべてを満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。(昭54年直法2-31「十九」、平6年課法2-5「三十一」により追加、平19年課法2-3「三十七」により改正)
(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。
薄井逸走『法人税調査はズバリ!ここを見る』、高下淳子『法人税と経理処理のしくみがわかる本』
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