消費税:売上・仕入対価の返還等の申告書上の記載方法
■消費税は、資産の譲渡等を行ったときに、その時点で適用される税率により課税されますが、返品、値引又は割戻しの時期は必ずしも資産の譲渡等が行われた時期と一致するものではなく、返品、値引、割戻しによる減額調整は元になった売上について適用されていた税率分で調整を行う必要が生じます。
そのため、単純に売上額から返品、値引、割戻しの金額を減額するのではなく、売上額に対する消費税等の額と返品、値引又は割戻しの金額に対する消費税等の額を格別に計算し、納税申告書上で調整する仕組みとなっています。
しかし、現実問題として、売上金額から返品、値引又は割戻しの金額を控除する経理処理を行っている事業者に、各別の勘定科目による仕訳を強制することも適当でないとの配慮から、継続してそのような経理処理を行っている場合には、その処理を認めることとされています。
(返品、値引等の処理)
10-1-15 事業者が、その課税期間において行った課税資産の譲渡等につき、当該課税期間中に返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをした場合に、当該課税資産の譲渡等の金額から返品額又は値引額若しくは割戻額を控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。
(注) この場合の返品額又は値引額若しくは割戻額については、法第38条第1項《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定の適用はないのであるが、同条第2項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。
■なお、仕入対価の返還等も同様です。
(仕入れに係る対価の返還等の処理)
12-1-12 事業者が、課税仕入れ(免税事業者であった課税期間において行ったものを除く。以下12-1-12において同じ。)につき返品をし、又は値引き若しくは割戻しを受けた場合に、当該課税仕入れの金額から返品額又は値引額若しくは割戻額を控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。
(注) この場合の返品額又は値引額若しくは割戻額については、法第32条第1項《仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》の規定の適用はないことに留意する。
■売上割引
売上割引は、企業会計では営業外費用として計上しますが、消費税では売上対価の返還等に該当するものとされています。
上杉秀文『消費税の課否判定と仕訳処理』
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