付加価値と付加価値率
■付加価値の計算の仕方は、中小企業庁などが使っている控除法と、日銀や日本経済新聞社が大企業の業績を分析するときに使う加算法の二種類の計算方式があります。
■控除法
付加価値=売上高-外部購入費
■加算法
付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
この加算法で計算した付加価値は、ふつうは控除法で計算した付加価値より少なくなります。逆にいうと、控除法による計算のほうが加算法より付加価値が多くなるわけですが、このような理由から、控除法による付加価値を、粗付加価値と呼んで区別することがあります。
■付加価値率
付加価値率=付加価値/売上高
企業の製造深度(内製度、あるいはその逆数の外注度)を示す指標。「高付加価値」製品といわれる場合に用いられる指標であるが、高付加価値製品というのは、利益をあげる源泉である付加価値が多いということであり、付加価値率の高い企業が必ずしも利益(=収益性)が高いとはいえない場合があるので注意することが必要である。すなわち、例えば付加価値が多くてそのなかに利益以外のものへ分配されるものが多い場合がそれである。
付加価値を計算する目的は、利益を計算する目的と同じではない。
■おおざっぱに、製造業では加工高、商業では粗利益を付加価値と考えて差し支えありません。
原田盛夫『採算計算に強くなる本』、森脇彬『経営分析実務相談』、山上達人『現代企業の経営分析』、石上芳男『「会社の数字」ここを押さえれば簡単だ!』
« 法人税:交際費判定の目安と計上時期 | トップページ | 事業主借と事業主貸 »
「経営分析」カテゴリの記事
- 都井清史『業種別エキスパート経営分析』きんざい(2017.04.27)
- 古田土満『ダントツ人気の会計士が社長に伝えたい 小さな会社の財務コレだけ!』日経BP社(2017.04.03)
- 小宮一慶『「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』PHPビジネス新書(2017.03.20)
- 田中威明『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』経営者新書(2016.12.05)
- 内田正剛『「不正会計」対応はこうする・こうなる』中央経済社(2016.10.02)
コメント