手元流動性を高める方法
■手元流動性・・・(現預金+すぐに売れる有価証券等)/月商
手元流動性は月商の何ヵ月分ありますか?。中小企業の場合、現預金が月商の一ヵ月以下だとしたら、土下座しても、とにかく、お金を借りたほうがいい。
中小企業の月末の預金残高の平均は、売上高の約1.5ヵ月分です。これは何を意味しているのかと、通常の営業サイクルで必要になる運転資金とほぼ同程度の金額なのです。経営的には、これが一番大切です。第一優先順位です。資金繰りがいい優良企業の預金残高を見てみると、売上の2.5ヵ月分以上になっています。
経験的に見ると、現預金については総資産の約10%以上だと、わりと財産の持ち方としては健全だと思います。有価証券があるなら、合計して15%くらいかな。
ただし、現預金には、借入金と両建計上されているいわゆる拘束預金も含まれている。こうした預金も含めた手元流動性を高めることは、必ずしも支払能力を維持し、高めることにはならない。
大企業なら1カ月、中堅企業で1.5カ月、中小企業なら1.7カ月分くらいは月末時点で必要です。
■現金預金はいくらあればいいのか?(松田)
・現金預金残高は、月商の1.5ヵ月から2ヵ月を目安に(最悪1ヵ月は確保)
・「現ナマ経営」では、月商の2ヵ月から3ヵ月が理想
・現金預金残高が、月商の0.5ヵ月を切ると倒産危険水域
■手元流動性・・・(現預金+一時保有の有価証券)の期首・期末平均/売上高
全産業:10.2(1.2)、建設業:14.1(1.7)、製造業:10.7(1.3)、卸小売業:6.7(0.8)、サービス:11.7(1.4)
財務省『法人企業統計』平成17年度:()内は月換算
■手元流動性を高める3つの方法
- 外部からの資金調達(銀行借入・増資)で手元流動性を高めること
- 利益を貯めて(利益の内部留保)手元流動性を高めること
- 資金の流動化により手元流動を高めること
この3つの手法は、基本的に経営哲学の違いである。
■キャッシュを増やす7つの方法(ボストロム)
- 現金購入をやめ、リースにする
- 売掛金を回収する
- 前受金を増やすビジネスを行う
- 在庫を減らす
- 支払期限を延ばす
- 固定費用を変動費用にする
- 資金を調達する
■キャシュフローを確保する方法(日野上)
- 現金取引に移行する
- 手形取引はサイトを短くする
- 棚卸資産を適量最小限にする
- 不要資産を売却する
- 借入金の返済は超長期にする
■キャッシュフローを改善するための主なポイント
- 売上を伸ばす
- 総利益率を改善する
- 経費を削減する
- 代金の回収を早める(一方で、支払いを延ばす)
- 在庫の回転を早め、負担を小さくする
- 資産のリストラを行う
■資金不足になる原因は大きくいって2種類しかない。それは、短期的な原因と長期的な原因の2つだけである。
- 長期的な原因:①経常運転資金、②赤字資金、③設備投資資金
- 短期的な原因:①つなぎ資金、②季節資金、③納税資金・賞与資金
■資金不足の原因
- 回収の約束を守れなかったための資金不足
- 見込み違いの仕入による過大在庫の支払資金不足
- 工事などが長引き支払が先行しての資金不足
- 数か月続いた売上不振による資金不足
- 赤字の現場が発生したための資金不足
上坂朋宏『会計士が贈る経営のヒント』、小宮一慶『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』、小宮一慶『「1秒!で財務諸表を読む方法」』、児玉尚彦『会社のお金はどこへ消えた?』、アレン・B・ボストロム/広瀬元義『イン・ザ・ブラック』あさ出版、日野上輝夫『社長!金を借りずに時間を借りなさい』、森脇彬『経営分析実務相談』、柴山政行『一目で見抜く!財務諸表解読法』、鯖田豊則『会社を目利きする50のポイント』、末松義章『倒産・粉飾を見分ける財務分析のしかた』、小堺桂悦郎『借金の王道』、棚橋隆司『これで企業財務はよみがえる!』、小宮一慶『社長の教科書』
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