税理士が教える特に大切な5つの経営分析指標
社長が知っておきたいことの1つは、自分の関わる商売が「採算がとれるのか」ということ、そしてもう1つは、「資金繰りは回るのか」、の2点です。
まず知りたいことは、「現在の商売は採算がとれているのか」、「状況が変わっても採算がとれるか」、また「これから手がける新製品は儲かるのか」、なのです。
1.限界利益
売上高から変動費を差し引いた利益を「限界利益」と呼びますが、限界利益こそが固定費を回収できるパワーの源泉です。
2.営業CF
3.運転資金月商倍率
運転資金月商倍率=運転資金/月商
運転資金が月商の何倍あるかを見る指標です。日々の経営活動での資金繰りがひっ迫していないか。例えば、2倍なら、2か月分の売上代金に相当する運転資金の額を常に用立てる必要があるということです。
4.借入金月商倍率
借入金月商倍率=借入金(短長期借入金+割引手形+社債)/平均月商
借入金が月商の何倍あるかを見る指標です。体力以上に借金過多ではないか。この倍率は、3~5倍までが標準的な水準です(高下)。分子の借入金は、BSに計上されている期末時点の借入金残高ではなく、毎月末の借入金残高の月平均額によらなければなりません。
借入金の目安は月商の4か月分と、一般的に言われています(児玉)。銀行は会社の売上の大きさを1つの基準として、お金を貸せる範囲を見ているのです。借入金が月商の6倍、つまり売上の半分以上になると、銀行はその会社を“危ない会社”として警戒します。つまり、会社の年間売上高の半分以上を借金に頼るようになったら危険ということです。借入金の目安になっている月商の4か月分という金額がどれくらいの大きさなのかと言うと、年間売上高の3分の1、約33%です。これは売上高に占める粗利益率に近い数字です。中小企業のうち、2年連続赤字の企業は借入金の額が年間の粗利益の金額を上回っている傾向があるのです。
非製造業の場合、この倍率が1.5倍程度なら問題なし、3倍程度だとやや問題あり、6倍だと危険になります。製造業の場合は、非製造業の倍率の2倍で考えます。(青木)
5.自己資本比率
自己資本比率=(株主資本+評価・換算差額等)/資産合計
高下淳子『決算書を読みこなして経営分析ができる本』、都井清史『「中小企業の会計指針実務ガイド」』、児玉尚彦『会社のお金はどこへ消えた?』、青木寿幸他『かわいい決算書』
« 税務調査の傾向と対策 | トップページ | 借入金について »
「経営分析」カテゴリの記事
- 都井清史『業種別エキスパート経営分析』きんざい(2017.04.27)
- 古田土満『ダントツ人気の会計士が社長に伝えたい 小さな会社の財務コレだけ!』日経BP社(2017.04.03)
- 小宮一慶『「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』PHPビジネス新書(2017.03.20)
- 田中威明『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』経営者新書(2016.12.05)
- 内田正剛『「不正会計」対応はこうする・こうなる』中央経済社(2016.10.02)
コメント