商品ライフサイクルとキャッシュ・フロー
■商品ライフサイクルとキャッシュ・フローのパターン
1.導入期
営業活動と投資活動でマイナスになったCFを、外部からの資金調達による財務活動をプラスすることによって、CFのバランスを取っている。
2.成長期
設備投資などのビジネスに必要な投資をするための資金を、営業活動と財務活動によるCFによってまかなっている。
3.成熟期
営業活動のCFによって、投資活動や外部から調達した資金の返済(株主への配当)などが行われる。
導入期 | 成長期 | 成熟期 | |
営業CF | - | + | + |
投資CF | - | - | - |
財務CF | + | + | - |
■企業の成長ステージによるキャッシュフローの特徴
1.成長企業
- 売上は増えるが、売掛金も増えてくるため、営業CFがマイナスになる
- 売上に先行して仕入や製造費が増えてくる、また商品の在庫も増やしていかないといけないため、営業CFがマイナスになる
- 店舗や事務所、備品など固定資産への投資、これらは、投資CFのマイナスとなってくる
- 上記をまかなうため、財務活動によって、資金を調達していかなければならない。具体的には、借入金や社債発行、増資などにより資金調達を行っていく必要がある。そのために、財務CFは入りが増え、プラスになる。
2.安定企業
- 売上が安定してくると、売掛金の残高や買掛金、在庫の残高も安定してくるため、本来の営業循環サイクルになり、営業CFがプラスになってくる
- 本業で出た利益を資金運用や投資に回していく余裕が出てくるため、投資活動にお金を投入することになり、投資CFはマイナスになる
- また、安定企業に安住しているわけにはいかないので、次の事業への投資なども必要である。そのため投資CFはマイナス方向にいく
- 本業で出た利益により、創業時の借入金を返済していくことになる。したがって、財務CFは、マイナス傾向になってくる
3.衰退企業
- 売上が減り、経費が相対的に過大になってくるので、営業CFがマイナスになってくる
- 営業CFのマイナスを補うため、いままで投資してきたものを回収しようとする動きになる。固定資産の処分や、有価証券の売却により、投資CFがプラスになってくる
- 事業が衰退しているため、新たな資金調達は難しいし、あまり良い策ではない。そのため、従前の借入金を返済する状況は変わらず、財務CFは、マイナス傾向になる
成長企業 | 安定企業 | 衰退企業 | ||
営業CF | ▲ | + | ▲ | |
投資CF | ▲ | ▲ | + | |
財務CF | + | ▲ | ▲ | |
(注)+:プラス傾向が強い、▲:マイナス傾向が強い |
望月実『課長の会計力』、北岡修一『ココまでできる儲かる会計』
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