ギルマンの五つの「企業疾患」
ギルマンはアメリカ経営分析の確立期における重要な論者の1人であるが、彼は「企業疾患」の発見という観点から経営分析方法を展開している。そして、①経営者の性格(character)、②経営者の能力(capacity)、③資本の状態(capital)、④経済的な状況(conditions)の四つを企業の信用要因としてあげている(ギルマンの4C)。
ギルマンの「企業疾患」は初版と第2版では異なっているが、初版においては、①純利益の不足、②棚卸資産の過大、③受取勘定の過大、④固定資産の過大、⑤資本の不足の五つが「五大疾患」(病源)としてあげられている。
第2版においては、次のように発展させられている。すなわち、
- 純利益の不足:①売上高の不足、②売上原価の過大、③営業費の過大
- 配当金の過大支払
- 財政状態の歪み:①受取勘定の過大、②棚卸資産の過大、③固定資産の過大、④資本の不足
また、これを分析資料との関係でみると、次のようである。
- BS分析:①受取勘定の過大、②棚卸資産の過大、③固定資産の過大、④資本の不足
- PL分析:①売上高の不足、②売上原価の過大、③営業費の過大、④配当金の過大支払
このギルマンの「五大疾患」(あるいは八大疾患)は有名であり、現在においてもその重要性は失われていない。
山上達人『現代企業の経営分析』
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