銀行が融資をする基準
■銀行が融資をするのは「業況が良好」かつ「財務内容に特段の問題がない」場合で、この判断基準は、概ね次の三点である。
- 同業同規模並みの売上げ、利益が計上されている
- 借入金が過大でない
- 業歴に見合った程度の内部留保がある。
「財務内容に特段の問題がない」というのは、
- 全体の借入額が資産規模、売上げ等に比して過大でない
- 資金の調達機関が資金使途等との関係で適正である(長・短期借入金の適正バランス)
- 不良資産が包蔵されていない
- 減価償却等が適正に実施されている
- 業歴・資産規模の見合った内部留保(自己資本)がある
■借入れには次の条件が必要である。
- 他人資本(借入金、支払手形、買掛金等)の合計が流動資産を上回らないこと
- 返済元本は利益で返せること(返済のために借入することが多い)
- 営業CF・投資CFが黒字であること
1.は、無理な資産、無駄な資産の購入を防ぎ、2.は損益分岐点を下げることにつながる、そして3.は本業に徹し、濡れ手で泡の投資活動に資金を注ぎ込むことを防ぐ。
■BSに社長への貸付金があったら、金融機関はまず融資してはくれません
■金融機関の融資担当者は、BSを現在の資産価値で組み替えるんです。
■減価償却費を計上していない会社は、当然その分を割り引いて見ています。
■銀行の決算書の見方は、下(利益)からノゾいて、裏(財務状態)をメクって、なか(お金の流れ)をサグります。
■銀行は最終的には、会社の返済能力で借入金限度額を判定します。最も重視する指標が「債務償還年数」です。一般的は、借入金総額を5年分のキャッシュフローで返済できるのが理想とされています。
■銀行は決算書のどこを見ているのか?。それは借入を返済していけるかどうか、つまり「返済原資」です。銀行は、CFで会社を判断しているのです。返済原資は、次の式で求めることができます。
返済原資=当期純利益+減価償却費+社長の役員報酬-既存借入金返済額
■銀行は何を見ているか?貸す側の立場
- まずは、自己資本を見る
- 次に現預金と借入金の残高のバランスを見る
- 回収できないものが、どれ位あるのかを見る
- 簡単なキャッシュフローを見る
- 資金使途を確認する
- 最後は社長自身を見る
■「ぜひ資金を使ってほしい」と言われる財務内容
- 流動比率・・・150%以上
- 当座比率・・・100%以上
- 自己資本比率・・・30%以上
- 手元流動性(現預金)・・・月商1カ月分以上
- ROA・・・10%以上
■借り入れに関する二つの法則
「借入期間の短い融資は出やすいし、期間が長くなればなるほど出にくくなる」のが、融資の第一法則です。第二法則は「返済期日に一括して返済する形式よりも、毎月分割して返済する形式の融資の方が出やすい」です。このどちらも、借りる人よりも融資をする側、つまり金融機関が有利な立場にあります。金融機関としては、リスクを負担する期間が短くて済むからです。
「現金、その場限り」。念には念を入れよ。
■銀行審査のポイント
- 安全性・・・返済能力(流動比率、自己資本比率等)
- 収益性・・・返済能力(利益額、利益率)
- 成長性・・・将来性(売上高<利益、業界)
- 経営者・・・安全性(業界経験、経営経験、年齢、後継者)
- 銀行の収益性・・・銀行の利益額(利益額、ROA)
日野上輝夫『会社をつぶす経営者・立て直す経営者』、ウエスタン安藤『決算書の読み方』、児玉尚彦『会社のお金はどこへ消えた?』、北岡修一『ココまでできる儲かる会計』、洲山『銀行にカネは返すな!』、佐藤一郎『御社にお金を貸せない理由』、FANアライアンス編『オーナー社長だからできる節税と資産づくり』、小宮一慶『「会社を経営する」ということ』
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