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2009年5月13日 (水)

アンゾフ:製品・市場マトリックス

■アンゾフは、戦略を「部分的無知の状態のもとでの意思決定のためのルール」と定義している。つまり、戦略とは非常に不確実性の高い状況において決定を導くためのルールを意味しているということである。そして、戦略を構成する要素として、①製品市場分野、②成長ベクトル、③競争上の利点、④シナジーの4つの基準を提示している。

アンゾフは、企業の成長図式として成長ベクトルという枠組みを示し、図のような製品・市場マトリックスを提示した。成長ベクトルというのは、現在の製品市場分野との関連において企業がどのような方向に成長しているのかを示すものである。

製品
 
市場 市場浸透戦略 新製品開発戦略
市場拡大戦略 多角化戦略

アンゾフは、企業が長期的な成長目標を達成するためには、図に示した製品軸と市場軸で表される4つの戦略の組み合わせが必要だとした。

  • 市場浸透戦略:この戦略は既存の製品と既存の市場で成長を果たそうとするわけだから、市場需要の成長力がいまだ衰えずという前提が必要である。市場需要の成長力を高める第1の方途は、市場需要の普及・拡大をはかることである。つまり、当該製品の利用者の数を増やすことであり、顧客ベースを拡大することである。第2の方途は、拡大した顧客ベースの1人当たり使用量を拡大することである。そのためにマーケターは通常、ユース・オケージョンの開拓を行う
  • 新製品開発戦略:企業の成長目標を達成する第2の方策は、新製品開発戦略である。これは、いわゆる製品ラインの拡大であり、既存製品を基軸として同一顧客ベースに対して多様な製品ラインを構築したり、新製品による製品の切り替えを積極的に行うことである
  • 市場拡大戦略:成長目標を達成する第3の方策は、市場拡大戦略であり、その典型的なものは市場の国際化である。
  • 多角化戦略:成長目標達成のための最後の方策は、事業の多角化戦略である。アンゾフの製品・市場マトリックスによれば、多角化とは新製品をもって新市場に参入することと定義される。したがって、企業が行う多角化活動は、これまでの事業活動とはまったく異なる事業活動となり、そこには新たなリスクが発生することになる。

■アンゾフ理論の問題点

多角化戦略は、シナジー効果が極めて弱い分野に新事業の展開をしようとする戦略である。アンゾフが企業戦略を著した時代のように経済のパイが拡大している場合には、シナジーを無視した多角化が成長戦略としても意味をもったといえる。しかし、このような多角化戦略は、ともすればアメリカで1960年代にブームとなったコングロマリットといった関連のないあらゆる分野に進出するといったリスク分散型の企業形態を生み出してしまうことになる可能性がある。

アンゾフは、シナジーという概念を考慮しながら、企業の成長戦略の方向性を決定することの重要性を示唆したものであり、シナジーが弱くなればなるほど、不確実性が強くなることも示している。

シナジー(synergy)

シナジーとは、「企業の資源から、その部分的なものの総計よりも大きな一種の結合利益を生み出す」相乗効果のことであり、「2+2=5」というような効果をいう。アンゾフは、シナジーを次のような4つに分類した。

  • 販売シナジー:流通経路、販売管理組織、倉庫、広告、販売促進、名声を複数の事業の間で共通に利用するときに起こりうる効果
  • 操業(生産)シナジー:施設と人員の高度な利用、間接費の分散、共通の学習、一括大量仕入れなどによって起こりうる効果
  • 投資シナジー:工場、機械器具、研究開発を複数の事業の間で共通に利用できるときに起こりうる効果
  • マネジメント・シナジー:経営者の能力やノウハウが複数の事業の戦略的・管理的問題に共通して適用できるときの効果

アンゾフ『最新・戦略経営』、和田充夫他『マーケティング戦略』、大滝精一他『経営戦略』、淺羽茂『経営戦略の経済学』、十川廣國『戦略経営のすすめ』

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