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2009年5月 4日 (月)

ファイブ・フォース分析-業界構造分析(外部環境分析)

ポーターの競争戦略は、寡占が生み出される現実のメカニズムを明らかにしたともいえる。つまり、市場においてなぜ優勝劣敗が生じるのか、その理由を解き明かし、どうすれば勝ち組(寡占を形成するメンバー)に回れるのかを示したのである。

このモデルは、事業の収益性は、その業界の魅力度に左右される、したがって業界の魅力度を決定する要因を明らかにすれば、競争優位を得るための行動が導き出されるという前提に立っている。

競争要因のうち、最も強力なものが業界の収益性を決定する。戦略策定の際にもこれを最も重視しなければならない。

ポーターのフレームワークは、業界の定義を所与として、既存企業の収益性に影響を与える重要な要素を次のように分けている。

1.新規参入の脅威・・・これには、新規参入企業が自力で参入してくるケースのみならず、業界内の既存企業を買収して参入するケースも含まれる。新規参入してきた企業は、新しい生産能力、市場シェア獲得への意欲、そして多くの場合かなりの資源を業界に持ち込んでくる。業界の参入障壁が高いか、既存企業による報復措置(値下げによる対抗など)の可能性が高い場合には、新規参入の脅威は小さくなる。ポーターは、参入障壁を築く要因として、以下の項目を挙げている。

  • 当該事業に規模の経済が働いている場合
  • 新規参入に要する投資額が巨額である場合
  • 政府の規制が存在する場合
  • スイッチングコスト(顧客が取引先を変更する際のコスト)が高い場合
  • 流通チャネルへのアクセスが限られている場合
  • 差別化された製品またはブランドが存在する場合
  • 独占的な製造技術が存在する場合

2.供給業者の交渉力・・・供給業者は、納入する製品やサービスを値上げしたり質を落とすといった手段を通じて、業界内の企業に対する交渉力を発揮することができる。2と次の3の競争要因に関しては、経済学でいう「需要と供給」の関係が当てはまる。つまり、サプライヤーが多数で顧客が少数の場合には顧客側が強い競争力を持ち、顧客が多数でサプライヤーが少数の場合にはサプライヤー側が強い交渉力を持つことになる。

3.顧客の交渉力・・・買手の影響力が強くなるのは、買い手側で集中が進んでいたり、大量に購入している場合である。そのほか、①値下げを迫ってくる、②より高品質かつ優れたサービスを要求してくる、③ライバル企業との競争に勝ち抜くためにさまざまなプレッシャーをかけてくるといった行動を通じて、われわれに対して交渉力を行使してくる。顧客側の交渉力が強いほど、業界の収益性と魅力度は低下する。

4.代替品・サービスの脅威・・・代替製品・サービスが現れると、価格設定に上限が設けられてしまい、業界のポテンシャルは抑えつけられてしまう。

5.既存の競合企業どうしのポジション争い・・・既存の競合企業どうしの競争は、価格競争や新製品投入、宣伝合戦といったお馴染みの方策で「ポジション争い」という形をとる。

■第六の要因

インテルの創立者であるアンドリュー・グローブは、ポーターのモデルに第六の要因として補完製品の影響を加えることを提案している。

ポーター『競争戦略論Ⅰ』、マーク・コゼンティーノ『戦略コンサルティング・ファームの面接試験』、ガース・サローナー他『戦略経営論』、ポーター・編集部『ハーバード・ビジネス・レビュー』

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