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2009年5月 2日 (土)

PPM(Product Portfolio Management)

■企業が成功を収めるためには、異なった成長率と、異なったマーケットシェアが持つ、複数の製品群から構成されるポートフォリオを持たなければならない。このポートフォリオの構成は、各製品が生み出すキャッシュフローと密接な関係がある。成長率が高い製品は、成長を持続させるためのキャッシュを必要とする。成長率が低い製品は、余剰キャッシュを生み出さなければならない。企業は、これらの双方を同時に持つ必要がある。

ある製品が生み出すキャッシュフローは、次の4つの法則によって定められる。

  • 法則1:ある製品の利益率とその製品が生み出すキャッシュは、製品のマーケットシェアに比例する。高い利益率は高いマーケットシェアによって実現する。これは、「経験曲線効果」によって説明できる普遍的な事象である
  • 法則2:成長を持続するには、成長を支える資産を購入するためのキャッシュが必要である。一定のマーケットシェアを維持するために必要とされるキャッシュの量は、製品の成長率に比例する
  • 法則3:高いマーケットシェアを実現するためには、自力で他社のシェアを奪い取るか、他者を買収しなければならない。他者の買収によるマーケットシェアの拡大には、より多額の投資(=キャッシュ)を必要とする
  • 法則4:永久に成長し続ける製品は存在しない。成長が減速したときには、それまでの見返りが得られなければならない(この段階で見返りが得られない場合、他のどの段階でも見返りを得ることは決してできない)。ここでいう「見返り」とは、製品の成長を支えるための再投資が不要となったことから創出される余剰のキャッシュである

■PPMは、市場成長率と市場シェアの2次元で個々の事業単位を位置付け、カネ(キャッシュ)の流れをコントロールして会社全体として適切な利益と成長を達成するための方法である。PPMでは、このキャッシュ(現金)がどこで生み出され、どこで必要になるかということが唯一最大の関心ごとである。

市場成長率 花形製品 問題児
   
   
金のなる木 負け犬
   
   
相対市場シェア

この図には、3つの情報が盛り込まれる。第1に、横軸は市場シェアを表している。相対市場シェアというのは、自社を除く業界他社のうち最大手と自社のシェア比である。2つめの情報は縦軸の市場成長率である。3つめの情報は製品の売上高である。

自社の市場シェアが低く、キャッシュを食うのは、問題児。順調に育てば将来大量のキャッシュを生み出す事業になるのは、花形製品。大量のキャッシュを今現在生み出しているのは、金のなる木。既に勝負のついてしまった業界でトップになれなかった事業は、負け犬

■まず、成長率が高く、市場シェアが低い象限です。これを問題児(クエスチョンマーク?)といいます。企業が通常、商品を市場に参入させるときは、ここからのスタートとなります。ここに、ビジネスの種(シーズ)を蒔きます。どうなるのか分からないのでクエスチョンマークです。

次に問題児が成長し、成長率が高い状態で、シェアも高くなると、「スター」になります。

そして、そのスターの成長率が落ちたものが「金のなる木」で、成長率が低く、シェアの高い状態です。

また、一方で、クエスチョンマークに参入したものの、シェアが取れずに、成長率も落ちてしまったものが「負け犬」です。このような状態では、製品や事業を継続することが難しい場合も多く、撤退することもあります。

■PPMとキャッシュフローの関係を見てみましょう。

問題児では、初期の算入ですから、開発費用、プロモーション費用や営業費用がかかり、また、損益分岐点にもなかなか達しないために、キャッシュフローは通常、マイナスとなることが多くなります。

スターに昇格したらどうでしょうか。キャシュフローは改善するように思えますが、高成長市場で、また、成功事例を見て他者も次々と算入してくるため、広告宣伝費などのプロモーション費用や販売地域拡大のための営業費用が多くかかりキャッシュフローは大きく改善しない、場合によっては、シェア確保のために出費がかさみマイナスということにもなりかねません。

一番キャッシュフローを生むのは、金のなる木です。成長率は低くなり市場は成熟しますが、新規参入は減り、逆に製品認知度が高まるため、多額のプロモーション費用を必要としません。また、製品開発費用もそれほど必要としないためです。この金のなる木に到達して、はじめて製品が潤沢なキャッシュフローを生むようになるのです。

負け犬はキャッシュフローを生みません。キャッシュフローがマイナスとなることも多いのですが、プロモーション費用も多くかけないので、わずかですがキャッシュフローがプラスということもあります。中小企業がこの負け犬の状態でキャッシュフローをわずかに生みながら、生き延びていくこともあります。

いずれにしても、金のなる木をどれだけの数、またどれくらいの期間持てるかが、企業にとっては非常に重要になります。金のなる木で稼いで、その稼いだキャッシュフローを製品開発などに使い、次々と問題児に新製品を投入でき、次世代のスターや金のなる木を育てていけるのが強い会社ということになるでしょう。

沼上幹『わかりやすいマーケティング戦略』、小宮一慶『「1秒!で財務諸表を読む方法」』、マーク・コゼンティーノ『戦略コンサルティング・ファームの面接試験』

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