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2009年6月12日 (金)

分配可能額

会社法は、従来の利益配当、中間配当、資本金と法定準備金の減少に伴う払戻し、および自己株式の取得をまとめて「株主に対して交付する金銭等」として扱い、それぞれについて「分配可能額」という統一的な財源規制をかけている。

■ステップ1

配当規制の出発点となる「剰余金」は、BSの「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額として算定される。その他資本剰余金には、自己株式の処分差益や、資本金の減少差益が含まれる。また、その他利益剰余金は、任意積立金と繰越利益剰余金から構成される。通常、配当金の支払財源となるのは繰越利益剰余金であるが、任意積立金はもとより、その他資本剰余金からの配当も可能である。

■ステップ2

剰余金の計算は前期末のBSから出発するが、会社法により「配当などが効力を発する日現在の金額」として規定されているため、前期末からの変化額があれば加減される。また会社が保有する自己株式は、株主資本から控除するかたちで記載されるが、剰余金の算定時には減算せず、分配可能額を算定するときに減額される。

■ステップ3

会社法では、さらに次の項目を控除した後の金額を「分配可能額」とする。

最初に控除されるのは、会社が保有する自己株式の帳簿価額である。

このほか、次の項目を控除すべきことが定められている。

第1に、事業年度末のBSにおける資産の部に計上したのれんの額の2分の1と繰延資産の合計額(のれん等調整額)が、資本金と準備金の合計額を超える場合、その超過額を分配可能額から除外することを求めている。

(注)準備金とは、資本準備金と利益準備金とからなる金額である。

第2に、事業年度末のBSに計上されたその他有価証券評価差額金と土地再評価差額金が借方残高(つまりマイナス)のとき、その評価差損の額を分配可能額から除外することを求めている。

第3に、株式会社の純資産額(その他資本剰余金とその他利益剰余金の控除後)が300万円を下回ったとき、その差額を剰余金の分配可能額から除外することを求めている。

桜井久勝他『財務会計・入門』、武田隆二『最新財務諸表論』

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