長山靖生『謎解き少年少女世界の名作』新潮新書
『ジョリクールさんの下男』は、短い芝居で、二十分もかからなかった。だが、その稽古には、三時間近くもかかってしまった。ピタリスは、ぼくにも犬たちにも、同じ事を二度、三度、二十度とくりかえさせた。ぼくは、こうした親方の根気のよさ、そのやさしさにびっくりせずにはいられなかった。長い稽古のあいだ、親方は、一度もおこらなかった。一度も怒鳴りたてたりしなかった(『家なき子』)。
彼は、子供自身に希望と目的を与えることで動機付けをし、競争心を刺激し、子供が同じことを繰り返すのに、自分も根気よくつき合ってやることで、「教育」を達成してゆく。子供を相手にするときは、辛抱強さが肝要だ。
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