照屋華子・岡田恵子『ロジカル・シンキング』東洋経済新報社
大事なことは「私が申し上げたいこと」ではなく「私がいま答えるべき課題(テーマ)について相手に伝えるべきメッセージ」であることである。メッセージとは、次の3つの要件を満たしているのものだ。まず、そのコミュニケーションにおいて答えるべき課題(テーマ)が明快であること。第2に、その課題やテーマに対して必要な要素を満たした答えがあること。そして第3に、そのコミュニケーションの後に、相手にどのように反応してもらいたいのか、つまり相手に期待する反応が明らかであることだ。「課題」「答え」「相手に期待する反応」の3点セットが、本書で定義するメッセージである。
ビジネスにおいて課題の答えとして備えるべき要素は、課題によって異なるものではない。答えの要素はたった3つだ。それは、「私の答えを一言で申し上げれば、要するに・・・」といって説明する答えの核の部分である「結論」、そしてなぜその結論なのか、結論の妥当性を説明する「根拠」、さらにその結論がアクションである場合には、それをどうやって実行するのかを説明する「方法」だ。
・「結論」が伝わらないときの2つの落とし穴
- 結論は「課題の答えの要約」であって、「自分の言いたいことの要約」ではない。
- 「状況に応じて」「場合によっては」に要注意。付帯条件は同床異夢の温床。
・「根拠」が伝わらないときの3つの落とし穴
- 「Aが必要だ、なぜならAがないからだ」では相手は納得しない。
- 「それは事実ですか? それともあなたの判断、仮説ですか?」と思わせた途端に、信憑性は半減する。
- 「前提条件や判断基準」「言わずもがな」「当たり前」と思っているのは伝え手だけ。
・「方法」が伝わらないときの2つの落とし穴
- 他の会社、10年前でも通用するような公理では人は動かない。
- 修飾語で物事が具体的になることはない。
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