資源ベース論:バーニー
■バーニーは、資源ベース論が①経営者の特異性、②レント(超過利潤)の多様性、③資源の集合体としての企業、にかんする研究に影響をうけているとのべた。
第一に、経営者を特異な資源とみなす。経営者は企業がおかれた外部環境や内部資源の状況を分析し、価値創造に貢献するために戦略の策定と実行をすすめていく。この点で有能な経営者は、組織の強みとしてとらえらえる。かといって、経営者を企業にとって唯一の強みとみなしてはいけない。というのも、有能な経営者の特性を明らかにするのは、むずかしいことだからである。
企業の業績は、経営者個人というよりはむしろ組織の成果とみなさなければならない。
第二に、レントの多様性があげられる。レントとは、すぐれた資源をもつ企業や個人が、市場価格よりも低い平均費用を実現した結果、獲得できる標準以上の利潤のことである。
第三に、企業を資源の集合体としてとらえている。つまり、資源ベース論は、企業によって資源の組み合わせが異なる、というペンローズの企業成長論に影響をうけている。
■VRIOフレームワーク
資源の特性や組み合わせ方は、企業によって異なっており競争優位を左右する。企業の内部資源と競争優位の関係に注目するのが、VRIOフレームワークである。価値(Value)、稀少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、そして組織(Organization)のアクロニム(頭字語)である。
Vは、企業がもつ資源が価値あるものかどうかを問題にする。価値ある資源とは、外部環境の機会をとらえられる一方で、脅威に対処できる資源のことである。ほとんどの企業は、そうした資源を持つ。
Rは、自社以外にどれくらいの数の企業が価値ある資源をもっているかを問う。
Iは、価値があり稀少な資源が、他社にとってマネすることが困難かどうかを問う。そうした資源をマネするには、費用がかかってしまう。模倣困難性は、マネにともなう費用の大きさをあらわしている。
Oは、資源を複雑にむすびつける、あるいはそれらを有効に利用できる組織がデザインされているかを問う。
ある企業が業界の標準以上の収益性をえられるポジション-競争優位-は、その資源がVR(価値と稀少性)の特性をもつかどうかによる。そして、他社によるマネをつうじて失われることのない競争優位-持続的競争優位-は、企業がVRIOな資源の組み合わせを構築できるかどうかによる。
ここで注意すべき点は、持続的競争優位というものは、長期的に維持できるという時間の問題ではなく、他社がマネするのに負担する費用の問題だということである。
« 國貞克則『マネジメント・バイブル』東洋経済新報社 | トップページ | 資金繰りとキャッシュフローの違い »
「フレームワーク」カテゴリの記事
- 山田英夫『ビジネス・フレームワークの落とし穴』光文社新書(2019.07.17)
- 永田豊志『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』Softbank Creative(2013.02.27)
- SWOT分析の問題点(2012.01.16)
- 4Cをさばく(2011.12.22)
- 7Sを考える(2011.12.21)
コメント