FANアライアンス『オーナー社長だからできる節税と資産づくり』あさ出版
■税金対策
利益が増えて納税額が多くなりそうな場合は、会社の財務の健全化をはかるため、債権放棄や在庫の見切り販売、不良在庫の廃棄処分などを行なって、会社の利益を減らすこともできます。
■非常勤役員
学業の余暇を利用して職務に従事していた大学在学中の女子学生の取締役について、役員報酬を月5万円とすることが相当であるとする判決がありました。このことから、非常勤役員としての仕事に対する報酬の最高額は、月額5万円程度が妥当かと思います。
■社長貸付金を返済する方法
決算書に計上されてしまった社長貸付金を消していくには、帳簿の数字を実体に合わせることから始めなければいけません。現金勘定を会社の実際の現金残高に合わせるのです。そのためには、まず実際の現金残高と帳簿上の残高との差額を、社長貸付金勘定に振り替えます。そして、その社長貸付金を、社長個人の資産から入金できるかどうかを検討します。この入金は、全額でなくても構いません。入金できるのであれば入金してもらい、その分を社長貸付金の返済として処理します。
社長個人の資産から入金できない場合は、役員報酬を増額し、毎月決めた金額から役員報酬と社長貸付金を相殺して消していきます。ただ、この場合、相殺させる貸付金部分は社長の手元に残らないのに、所得税は増額した報酬分にかかってしまいます。つまり、社長は増額分の所得税や住民税を負担しながら返済をすることになるのです。一方、会社側にもリスクがあります。役員報酬を増額すると、その分会社の経費が増えるため、今まで以上に利益を出さなければ黒字決算を組むことができません。
会社が役員に対する貸付について融資規程を定めて、貸付利率をその会社の資金調達金と同じ程度にしている場合には、その貸付利率で計算してもいいでしょう。
■借地権の発生
社長が自分の所有する土地の上に建物を建設して、その建物を会社に貸した場合は、どうでしょうか? この場合は、建物だけの賃貸であっても、その建物の敷地までを会社に貸すことになります。
これに対して、社長個人の土地に会社が建物を建設した場合は、社長個人は敷地のみを貸すことになります。そうなると、社長個人と会社に「借地権」という複雑な問題が発生してしまいます。その場合、土地の更地価額の6%程度の賃借料を、会社が社長個人に支払わなければなりません。なお、会社が将来その借地権を無償で社長個人に返還することを明らかにした「借地権の無償返還の届出」を所轄税務署に提出すれば、この課税は行なわれません。
■剰余金の分配可能額
剰余金の配当をする場合、配当額の10分の1を資本金の「4分の1」に達するまで準備金として積み立てなければいけません。ですから、実際に配当できる額は、分配可能額の11分の10となります。
■会社貸付金から利息を取る
社長は会社への貸付(役員借入金)に対して利息を取っても取らなくても税務上は問題ありません。利息を受け取った場合は、受け取った利息収入を「雑所得」として申告。
逆に会社からの借入(社長貸付金)がある場合は、会社に利息を支払わなければならないので注意が必要です。
■返済原資
当期純利益+減価償却費+社長の役員報酬-既存借入金返済額
■事業用建物・土地を会社で購入するのと、個人で購入し会社に貸すのと、どっちが得?
個人と会社を一体にとらえての納税負担を考えれば、事業用建物・土地を購入する場合、個人で購入して会社が個人へ地代家賃を支払ったほうが税金は安くなります。一定の所得までであれば、会社の税率のほうが個人の税率よりも高いからです。
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