後正武『意思決定のための「分析の技術」』ダイヤモンド社
「センス」や「感覚」は、技術の裏づけがなければ実らない。
分析とは、「物事の実態・本質を正しく理解するための作業」の総称。
分析の基本は、
- 大きさを考える
- 分けて考える
- 比較して考える
- 時系列を考える
そのバリュエーションとして、
- バラツキを考える
- プロセスを考える
- ツリーで考える
「大きさの程度」(オーダー・オブ・マグニチュード)とは、何事によらず、内部論理の緻密さや形式的な整合性を論ずる前に、全体として大きさの程度、施策の利きの程度をおおまかに把握して、まず重要度の判定をし、そのうえで重要度の順に応じて、あるいは大きなところのみ手をつける、という考え方である。
なるべく早い時点で、粗くても、間違っていてもよいから、全体観を持ち、そのなかでの感度をつかんで、重要なものから順により詳細に検討する。
成果を上げるためにある一定量を超える資源投入が必要な場合、その必要量をクリティカル・マスと呼ぶ。
分けて、個々の要素を吟味することによって、はじめて本質を正しくとらえることができる。
MECEによると、一つのものを二つ以上に「分ける」際、分けられた諸要素は互いに重複がなく、かつそれらを合計すると、元の分ける前の全体を漏れなく尽くしていなければならない。この鉄則を正しく守るために、
- 四則演算のうち、足し算、引き算、掛け算をしっかりと意識すること
- そのためには切り口の軸を明確に自覚すること
人生は「比較」と「選択」の連続なのかもしれない。
外見上、売上高・利益がまったく同じように見えても、コストを変動要素と固定要素とに分けて考えると、中身の違いが見えてくる。
ギャップ分析とは、類似した二つの事象の差異全体を要素に分解して数量的にとらえ、差異の原因を解明したり、改善の可能性を検討したりする手法である。
エクセレント・カンパニーの8要素
- 行動の重視
- 顧客への密着
- 人の重視
- 自主性・企業家精神の尊重
- 単純で小さな組織
- 基軸事業への傾斜
- 価値観に根ざした実践
- 自由と規律の共存
組織のあり方、組織風土と業績の関係については、7Sがきわめて有効な枠組みとなりうる。
最終年を一〇〇として、過去にさかのぼって指数をとる方法をすすめる。
繰り返しのパターンが現れるとき、その現象の背後にどのような法則・要因があるのかを注意深く検討してなくてはならない。
バラツキ分析は、少なくとも二つの意義を有する。
- バラツキの幅のうち、あってはならない状況を指摘して、これを阻止すること
- バラツキのなかからもっとも望ましいケースを見つけて、どのようにすればその望ましい状態を全体に広げることができるかを考えること
「通常のあるべきバラツキの範囲を超える部分」を正しく管理することによって、全体が正常に保たれることが多い(例外の管理)。
戦略とは最終的には「資源の配分」である。
全体成果にきわめて有利に作用するポイント、あるいはどこかをわずかに改善するだけで、全体が見違えるようによくなるというポイントを、レバレッジポイントと言う。
ツリー
- 一つのものが、いくつかの下位レベルの要素に分解され、それがさらに下位の複数の要素に分岐している状況
- いくつかの諸要素が、意味のある一つの事象に統合され、それがさらに上位の事象・概念に統合されて、全体としての一つの意義を持つ状況
コンサルタントの最終的な強みは、訓練されたロジックの能力と、プロジェクト運営のスキル。
論理的に、厳正に、かつ重要度の順に考える。
ハーバード・ビジネススクールは、経営は科学ではないという立場をとる学校である。
ハード3S・・・・意思と力で決定が可能
ソフト4S・・・短期間での力による変更はむずかしい。正しい方向づけと、注意深いケアと運営が必要。
「先人の知恵に学ぶ」ということは、実は「知識を得る」ことではなくて、先人たちの知恵や研究の成果を「現時点のわが身に引き寄せて、具体的に考え、応用する」ということなのである。
まじめとは実行するということである。
原因の背後にその要因となる原因があり、さらにその後に要因となる原因がある。それを詰めるところまで進めるのが分析である。
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