負債コスト・株主資本コストと加重平均資本コスト
■負債コスト
現時点の負債コストとしては、企業がこれまでに借り入れた負債の金利ではなく、現在借入を行う場合の金利を用いる。
負債の支払利息は税控除の対象となるので、加重平均する際の負債コストとしては、負債の金利に「1-法人税率」を掛けた税引後負債コストを用いる。
■株主資本コスト
株主資本コストは株主がその企業の株式投資から期待するリターンのことである。しかし、負債の金利は企業の債権者との契約で決められているが、株式の期待収益率はそのように決められているわけではないので、あくまでも推計するしかない。このためによく用いられるのが、資本資産評価モデル(Capital Asset Pricing Model:CAPM)である。
期待収益率=無リスク金利+ベータ×(市場ボートフォリオの期待収益率-無リスク金利)
この式は、リスクのある資産の必要収益率は、無リスク金利にリスクの代償として要求されるリスクプレミアムを合計したものになるが、その場合のリスクプレミアムはその資産のベータと市場ポートフォリオのリスクプレミアム(市場ポートフォリオの期待収益率と無リスク金利との差)の積になることを示している。
CAPMを用いて、株主資本コストを推計する際には、無リスク金利は長期国債の利回りを用いることが多い。
■加重平均資本コスト
加重平均資本コスト=税引後負債コスト×有利子負債/(有利子負債+株式時価総額)
+株主資本コスト×株式時価総額/(有利子負債+株式時価総額)
加重ウエイトとしては、簿価ではなく時価を用いる。
加重平均する場合の負債のなかには買入債務や前受金などの無利子負債は含めず、有利子負債(長期借入金、社債)のみを加重平均の対象にする。
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