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2012年1月12日 (木)

B.D.ヘンダーソン『経営戦略の核心』ダイヤモンド社

戦略はロジックだけではなんともならないのです。

企業というものは最後に財務上の目的が達せられすればよいわけです。

プロフィット・センターという組織は、短期の利益だけを追うために政策に一貫性をなくしてしまうのです。長期にわたって競争の均衡状態を自社に有利な方向へ動かすといったことが無視されてしまうのです。もっとわるいことには、企業全体の成績を最適にするのではなくて、プロフィット・センターだけの利益を最大にしようと考えるようになって、企業の妨害者になりかねないのです。

自分の戦略を理論化できて、それを競争戦略の形で具体的に表明できる経営者こそが、将来の企業を支配できるにちがいありません。

市場戦略は、市場をうまくセグメントに分割して、有利なセグメントに経営資源を集中させるということに尽きます。

セグメンテーションという考え方の裏には、市場と製品の組合せごとに、競争相手は誰か、自社の資源に比較してその相手の強さ弱さはどの点かを見つけることの大切さが強調されています。すぐれた市場戦略とは、自社の強さが最大限に発揮でき、一方、競争相手のそれが最小限になるように、全体の市場をセグメントに分けることなのです。

「自社が最大の投資を計画している製品、市場、サービス分野では、他者が投資をあきらめるようしむけるべし」これが戦略の基本ルールです。

競争相手の弱点に向けて自社の強さを集中せよ。

戦略で成功するとは、競争相手に戦いをやめると決定させることです。

気づかれないようにする。

製品価格の下落はおどろくべきほどの一貫したパターンをたどって起こる。

戦略づくりの出発点はつぎの作業になります。

  1. 自社の事業分野をはっきりと定義する。
  2. この事業分野の有力競争会社を列挙する。
  3. その競争相手と自社とのちがいを書きあげる。
  4. 競争関係を左右する企業環境の変化を予測する。
  5. 自社の戦略目標を決めて、それと競争相手の目標とのちがいを、できるだけあきらかにする。

戦略づくりは、科学ではなくてアート(技法)なのです。

戦略というものは、そうたびたび変更することはできません。定義の形で言うと、戦略は、経営資源の配分方法であって、いちど決めると本質的には変更不能なのです。

ビジネスにおけるデシジョンは、いうまでもなく、最終選択は直観的です。

データ収集とその分析をやる前に、直観的に問題を定義し、解答方法の見当をつけておくこと。初めの分析は荒っぽくやること。その後で、より厳密に問題の再定義をして、深くこまかく分析しなおすこと。経験を積んで砥ぎすまされた直観をもつ人と、科学的分析技法は身につけているけれども何ができるかを知るには経験の足りない人とで構成した、混成プロジェクト・チームを利用すること。分析技法と直感の両方の組合せを最高度に利用し、それぞれの欠点を補い合わせることができるにちがいありません。

存続するためには、税引前で資本金に対して10ないし15%の利益が必要です。所得の半分を配当金として支払うとしたら、その二倍が必要です。

市場シェアは、まことに貴重です。シェアが増えると、相対的コストを下げることになり、そのために利益が増えるからです。ところが残念なことには、市場シェアを増やす努力をすれば、少なくとも短期的には、利益が減ります。

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