金井壽宏『ニューウェーブ・マネジメント―思索する経営』創元社
経営学は、自分がなぜ経営できているのかを深く内省し、自ら経営の理論(持論)を抱く人びとによって形づくられてきた。
経営学は、現場のひとが現場の経験にもとづいてなにげなく放つ言葉から、基礎的概念さらには理論を構築すべきである。
多くの学問分野でよく生じることだが、その中心概念ほど定義が困難なものである。
表マネジメントは、「決められたことを決められた通り、きちんと人びとにやってもらう」世界だ。裏マネジメントは、「みんなでいっしょに、なんとかやろう」という世界である。
原則という言葉は困りものである。原則というだけで、すでに例外の存在が含意されている。
うまくいっているかどうかのフィードバックなしに、学習は生じない。
テイラーは、一流の人のやり方を標準化して、その手順がわかるようにした。
アルバイト学生が、神社にもマニュアルがあるのに驚いていたが、肝心なことほどそのマニュアルに書かれていないのに、もっと驚いていた。
よいアイデアをもっているひとも、それがよいアイデアなのかどうか、他の人びとの議論を通じてでないとわからない。
じっくり議論はするが、ばっさり決めることもできる集団。そんな集団を組織内につくりあげることは、なかなかのチャレンジだ。
慣れると工夫しなくなる(生産性ジレンマ)。
自問してほしい。今の仕事のやり方で本当にいいのか。
文化という概念を、経営学はないがしろにして使ってはいけない。
ステークホルダーのもっとも重要な使命は、社内にどっぷりとひたりきっている人びとに、見えているつもりで見えていないなにかに気づかせ、意思決定をより健全に保つことにある。
成功の原因は、自分の側の努力や能力に「内部」帰属される傾向があるのに対して、失敗の原因は、自分がおかれた状況の側、つまり課題の困難度や運に「外部」帰属される傾向がある。
革命には知的に詰めた思考がいる。
ひとはいつか死ぬ、ということを意識して創った組織論のほうが迫力がある。
ドメイン定義とは、「わが社はいったい何屋なのか」というなんでもない問いに、奥行き深くクリエーティブに答えることである。
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