鄭雄一『東大理系教授が考える道徳のメカニズム』ベスト新書
道徳の決まりは、本来は限られた仲間内での掟なのです。逆に、「仲間を殺してはいけない」という決まりは、私の知る限り、あらゆる社会に共通の、変化しない掟の一つです。
このことに関連して、チャップリンが映画『殺人狂時代』の中で、彼の扮する殺人鬼に、「一人殺せば悪人で、百万人殺せば英雄」という有名なことばを言わせていますが、これは、大きな誤解です。百万人でも仲間なら殺人犯になりますし、一人でも敵なら英雄になります。数の多寡は関係ないのです。
ですから、正しくは、「仲間を殺せば悪人で、敵を殺せば英雄」と言うべきなのです。
「哲学」カテゴリの記事
- 細谷貞雄編『世界の思想家24 ハイデッガー』平凡社(2022.06.17)
- 大井正・寺沢恒信『世界十五大哲学』PHP文庫(2021.12.13)
- 佐藤優『思考法 教養講座「歴史とは何か」』角川新書(2021.01.16)
- 加藤尚武『応用倫理学のすすめ』丸善ライブラリー(2021.01.16)
- 真下信一『思想の現代的条件ー哲学者の体験と省察ー』岩波新書(2021.01.15)
コメント