上野俊哉他『カルチュラル・スタディーズ入門』ちくま新書
カルチュラル・スタディーズが対象とするのは、人が普通に生きている日常生活や生活世界における様々な問題である。
カルチュラル・スタディーズは理論と実践を不断につなごうとする営み、運動である。
カルチュラル・スタディーズとマルクス主義の関係は深い。
おそらく「文化」の定義の中でもっとも有名なものは、マシュー・アーノルドの『文化と無秩序』の定義だろう。アーノルドによれば、「文化」とは「これまでに思考され、語られてきたものの最高のもの」と定義された。
ハーバーマスの「公共圏」をめぐる議論、ポストモダン理論批判などはカルチュラル・スタディーズとも関係が深い。
ベンヤミンによれば、近代国家における警察は、「法的目的のための(処分権をもつ)暴力」であるが同時に「広範囲にわたって法的目的を自ら設定する権限(命令権)」を併せもった「オバケめいた混合体」として発達してきたのである。
国民国家が「想像の共同体」であることは、もはやナショナリストや保守派イデオローグにとってすら認められる紋切り型(クリシェ)でしかない。国家や国民の概念が虚構、想像されたもの、幻想、構築されたものであるからこそ、それを守り、育まなければならない、というのが昨今の保守派の論理であるからだ。
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