ジョナサン・L・S・バーンズ『「赤字」の海と「利益」の小島 事業の4割は不採算なのに改善しないワケ』日本経済新聞出版社
ほぼすべての企業で、全事業の40%近くが完全に不採算である。
問題は、編集で捨てられた部分、つまりベストプラクティスに達しなかった仕事ぶりにある。
多くの会社に、潜在的収益を最大限に引き出すために必要な、顧客、受注品目、サプライヤー、販路、製品といった各領域の連携を管理する責任者がいないからだ。
利益の出ない顧客には2種類あった。「先進技術を採用する」会社と、「クレーマー」の会社だ。
「必要としているもの」とは、顧客を一歩前進させ、ビジネスの方法を変革し改善させるものである。
「壊れてないものを直すな」ということわざがあるが、マネジメントに関しては、これは最悪である。
五つめのP、「収益性(profitability)」だ。
私の経験では、次の三つの原則が、戦略の本質を捉えていると思う。
- 顧客価値が何より重要
- 戦略とは、何に対して「ノー」と言うかである
- 一番になれる分野をもつ
戦略作成の出発点は、顧客企業の隠れたニーズを深く理解し、それを満たす革新的な方法を開発して、顧客価値を創造することでなければならない。
収益性を70%の精度で分析する。
製品在庫は、顧客とサプライヤーの納品の安定度に左右される。
小売業の収益性の問題の多くは、小規模店における衰退期商品の管理にある。
「営業術」と「科学」を組み合わせて顧客管理を行えば、最終利益を最大にするからである。
すぐれた営業プロセスには四つの要素がある。
- 収益性管理
- 顧客関係の選択
- 関係発展経路
- 顧客別営業計画
製造業は、「関連サービスは、渋々提供してできるだけ追加料金を取るもの」という戦術的な見方からそろそろ脱するべきだろう。
均一的な顧客サービスをすべての顧客に当てはめるのは、マス・マーケット時代で終わりだ。
問題が起きたときこそ、こちらの真価を示して顧客の信頼を獲得するチャンスなのである。
顧客サービスとは「顧客の記憶にどう残るか」ということだ。
ロジスティクス責任者は顧客の注文を既定の事実と捉え、それにかかる業務費を最小にすることに関心を向ける。しかしサプライチェーン責任者の視野はもっと広い。サプライヤーから始まり、社内を通って、製品を最終的に使用する顧客まで、商品フローのあらゆる部分の収益性管理に積極的に関わる。
大きいプロジェクトの場合は仕事のやり方が根本的に変わり、パラダイムシフトが起こるからである。
会社がとくに危機に瀕していないときにパラダイムシフトを行うのはひじょうに難しい。
すぐれたビジネスは美しい庭と同じで、単に現状を保つだけでも絶え間ない手入れを必要とする。
変革の取り組みはほぼすべてが、次の三つのカテゴリーのどれかに当てはまる。
- 絶えず雑草を抜くこと(庭)
- 戦略的市場開発(砂の城)
- 大規模な組織的変革(山)
会社をよく知ろうと思ったら、それが5~10年前にどんな状態だったかを見るといい。
ランチに三回誘うまでは、商売の話をするな。
分析に多くの人を巻き込む。
目的は戦争に勝つことで、一つひとつの戦闘に勝つことではない。
すぐれた教育コースというものは、最高のミュージカルのようなものだ。顧客がそのミュージカルのメロディを二つか三つ口ずさみながら帰宅し、それがいつまでも心に残るなら、そのミュージカルは大成功である。
会社がもつ潜在的な収益力を引き出そうとする経営陣にとって障害となるのが、企業文化が容易に変わらないことである。
戦略的IT計画は多くの点で、戦略的市場管理計画と似ている。
大学という制度はもともと、中世後期の「ギルド制度」に基づいて作られたものである。
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