金子光晴『絶望の精神史』
運命論者は、死を自然の流れとして、あらかじめ計算されたものとしてあきらめさせようとする。宗教家は、死後の生存を強調することで、死に対する絶望から救おうとする。
日本ほど美しい、すぐれた国はないと歌えば、それがすぐ全国民の合唱となる。
その原因は、彼らをそそのかし、軍事力によって国の発展を約束した明治の軍国主義を、世間知らずの正直な国民が、まるのみにしたことによるのだ。
トルストイは、出生のとき、すでに視力があって、とりあげてくれた老婆の顔をはっきり網膜にとどめたらしい。
明治天皇は、国民に、にらみのきいた天皇だった。
戦争と、破壊本能、セックスの暴走は、つきものであったが、日清、日露のときには、まだそれを防止する規律があった。
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