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2014年3月17日 (月)

加藤周一『私にとっての20世紀』岩波書店

人は生まれる時を選べない。たとえばちょうど自分が生きている間に、偉い俳優、上手な俳優に出会わなければ彼らの芝居を見られない。

十五年戦争は「聖戦」から「侵略」に変わった。「倹約」の美徳は、「消費」の勧めに変わる。

トロイ戦争から十九世紀の終りまで何千年の間に戦争で死んだ人の数と、二〇世紀の一〇〇年間に戦争で死んだ人の数は拮抗するのではないか。

治安維持法はこれをすぐには使わなかった。

民主主義の最大の悪は多数派の専制であるといったのは、トックヴィルです。

民主主義の根底は仮に多数派によって行動することであると同時に、常に少数派意見を大事にするということです。

戦争の話をするのは昔の思い出話ではなく、現在の問題なのです。

南京で中国人の子どもを殺した日本人はどこに行ったかというと、それはわれわれの隣に住んでいるとても親切なおじさんなのです。

結局、選挙権をもつ大衆が問題なのです。

本当の戦争では、大抵の人は英雄より何より戦わないで病気で死にます。

戦争とは歩くことです。

中国や韓国の国民とその政府が講義するから、侵略戦争の責任を認めるというのではなくて、日本国内で右翼的考え方の復活が出てくることを防ぐためにも、過去をはっきりさせる必要があります。

日本では、前は徳川幕府で後は天皇制官僚国家です。

民主主義の根幹は政府を批判できるということ。

人間の本性は悪いかいいかの問題ではなくて、そういう状況に追い込んだ戦争というものが悪い。

ジュネーヴ協定にもあるように、「武装しない市民を殺してはいけない」。

ヴェトコン(越南共産党解放民族戦線)

政治の問題、歴史の問題に関しては、「沈黙は発言だ」(サルトル)

ヒトラーの場合は、外部から入ってきて権力を奪取して、軍国のナチの政策を作った。日本で、翼賛体制、軍国主義、戦争と歯止めなく進んでいくのは、内部からの現象であって、外からではない。

大東亜共栄圏の考え方は五族共存共栄という建前ですから、アジアから英国やオランダなどヨーロッパの植民地帝国主義者たちを追い出して、アジアの国を独立させるのが目的だといっていた。

「近代の超克」というのは、土台おかしな話なのです。

大日本帝国憲法の中には「人権」という言葉はない。近代ヨーロッパの国家というのは国民国家です。

ヨーロッパ語では「臣民」は近代以前の用語です。

日本は総理大臣から警察署長まで、戦争中に活躍した有能な人たちをそのまま温存した。ということは、戦争責任を一切問わないということです。

戦争責任を問わなければ、戦争中にどれほどひどいことがあっても、それが十分に批判されないことになる。そのこと自体がそもそもなかったことになる。だからまた復活する。

問題は知らなかったということではなくて、知ろうとしなかったことです。

外国を知っていれば日本がナンバーワンとかなんとかいう幻想は生じようがない。

「人権宣言」、それは憲法九十七条にも書いてあり、人類が長い年月をかけて育み日本人に付託したものです。

その数よりも、もっと大事なことは、南京虐殺があったということです。

イスラエルに手を出せば、状況次第によっては米国は原爆を使います。

第二次大戦前の日本の植民地では、日本の宗教を押しつけようとする傾向があった。最もひどかったのは、朝鮮半島で神社を造って押しつけようとしたことです。

日本人は「国」という言葉を使いたがる。

「国家」は明治以後作られたものです。

本居宣長は大和心ということをいきなりいった。

小林秀雄さんは、大岡昇平さんが若いときに師事した人で、大きな影響を受けています。

敗戦を「終戦」、占領軍を「進駐軍」。

やはり一頭の牛を助けることが先なのです。

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