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2014年5月 5日 (月)

米原万里『打ちのめされるようなすごい本』文藝春秋

「簡潔さは才能の姉妹」と述べたチェーホフ。

20世紀は「世界最初の労働者と農民の国」ソビエトが誕生し、崩壊した世紀でもあった。

言葉はまず何よりも音であることを痛感する。

『進歩的』な女の人は、いつも『新体制』の前で張りきっちゃう。

国家としては社会主義の面子を絶対に捨てない中国。何よりも管理されることを嫌う香港。

人文系の学問に携わる人々の言葉が、恐ろしく難解になっていく一方で、一日平均30語で事足りている若者たちの群れ。

スターリン自身が、ゴミ屑扱いされたグルジア民族の出であること、・・・

民族は自覚である。国民の資格は国が定義するかもしれないが、民族への所属は個人が自ら決めるものである。

長大な叙事詩を憶えた吟唱者に文字の知識を与えたとたん、すべての記憶が失せてしまったというような例が世界の各地から報告されている。

ある人にとっての『テロリスト』は、他の人にとっては『自由の戦士』だ。

石仏破壊には大騒ぎした世界も、石仏破壊よりもはるかに以前からアフガニスタン全土を覆っていたこの悲惨な現実に対しては無関心だった。手を差し伸べれば救えるだろう命が次々と絶たれていく事実は無視してきた。

ゲームの流れのなかで、あらかじめ予定していたこととは異なる動きをするのがチーム・プレイ。

唯一神信仰は、例外的人工的な宗教で、世界に三つ(キリスト教・イスラム教・ユダヤ教)しかない。しかもいずれも元はユダヤ教で、共通の神を信仰している。

その国を真に知るには刑務所を見ろ(トルストイ)。

1968年に「人間の顔をした社会主義」をめざした「プラハの春」

キリスト教を背骨とするヨーロッパにあって、ユダヤと並ぶ二大異端、流浪の民ジプシー。

いい通訳の条件は、その国の小説を自在に読めること、そして自国の小説もちゃんと読めること。

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