上田正昭『日本神話』岩波新書
もともと神話は、記録としてあるいは著作として存在したものではなかった。神話はあくまでも神聖なる言葉であり、それは儀礼や祭式などのなかで、語りつがれ、はぐくまれていったものである。
神話はついに政治から解放されはしなかった。
記紀神話が高度の政治性をおびた、きわめて体系的なものであったことは、だれもが認めなくてはなるまい。
『日本書紀』には、内外の文献が多数引用されている。
記紀神話を日本神話のすべてであるかのように錯覚して、・・・
宮廷にあっては記紀の世界に、地方にあっては風土記の世界・・・
外来の儒教や仏教の信仰が宮廷内部にもとりいれられ、朝鮮や中国の法知識も導入されてくる。
外交関係記事は『日本書紀』のほうに圧倒的に多い。
三柱の貴士のうち、統治の役割が、すべての所伝で一貫しているのは、アマテラスオオミカミだけである。
タカミムスビこそが皇祖アマテラスオオミカミよりも原初の神であった。
タカミムスビの神も、対馬→朝鮮に関係の深い神であった。
高天原にかんする神話的思考の源流は、国の内よりも国の外に求めなければならないだろう。
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