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2014年6月20日 (金)

長谷川晃他編『ブリッジブック法哲学』信山社

ところかわれば法かわる、ときがかわれば法もかわる。

信教の自由という西洋キリスト教起源の法原則の移植。

近代憲法の根幹をなす信教の自由が、16世紀以来の西洋世界で宗教改革や市民革命といった一連の闘争を通じて形成されてきた原理。

本人の利益や幸福を理由とする強制的介入をよしとするパターナリズム。

戦前においてはドイツやフランスの法理論が、そして戦後にはアメリカの法理論が日本における法制度の基礎を与えるものとして活用され、・・・

ギリシア哲学において開花し中世以来聖俗両面での独自の展開をみた自然法、帝国滅亡後も現在に至るまで西洋文化の根幹をなしつづけているキリスト教、そして近代法典のモデルであり法的思考や法概念の宝庫たるローマ法。

法実証主義とは一言で言えば、法とは実定法つまり制定法や慣習法、判例法に限るというもので、自然法(思想)に対抗する概念である。

古代ギリシア以来の歴史を有する自然法論。

法律家とは誰か。多彩な論証パターンを駆使はするが最後には議論を判決三段論法に収斂させていくことのできる人。

三段論法とは、大前提と小前提のふたつの前提からひとつの結論を導き出す推論形式である。

国家以前に存在し万人が生まれながらに持っていると考えられる「自然権」

国家を諸個人の契約により成立したものとして描く社会契約論。

個人の権利や自由を重視する見方は現代正義論の文脈で「リベラリズム」

日本の最高裁判所にも正義の女神の像が設置されている。

法は不正が生じてはじめて、正義を実現する働きを行うのである。

自然法論からすると、不正な法は、正義に反するがゆえに法ではない。対する実証主義からすると、たとえ不正な法であっても、民主的に選ばれた議会によって制定されたとすれば、それは法である。

旧ソ連東欧の崩壊が物語るように、共産主義は貧困の問題を解決できない。

むしろ人々の幸福や快楽を増大させ、不幸や苦痛を減少させることで、個人や社会の利益を最大化しようとする功利主義。

功利主義は、「最大多数の最大幸福」の名の下に、一部の人の利益を無視することを容認する可能性がある。このように、功利主義は、社会全体の利益の増大を重視するあまり、分配的正義を軽視している側面がある。

ロールズの正義論のユニークさは、マルクスのように不平等をなくそうとするのではなく、不平等が存在することは悪ではないと考える点にある。つまり、恵まれた層の富が増えることによって、不遇な層に財を再分配する余裕が生まれるというのである。

ノージックは、分配的正義を行おうとする巨大な福祉国家を否定する。そのうえで彼は、個人の生命・身体、自由、財産だけを守る、最小規模の国家を擁護することになる。彼の子の立場は、国家をなるべく小さくして、個人の自由を最大限に尊重しようとする意味で、リバタリアニズムと呼ばれている。

正義は西洋生まれの概念。

カント自身も人格を単なる手段としてのみ用いることを禁じたのであって、手段として用いることすべてを禁じたわけではなかった。

苦痛や死に直面した人間こそ、他の人々の複雑な感情に共感する能力を培うことができある。

「近代法」は、人格、所有、契約を三大要素として成り立っている。

デリダは、ポストモダン哲学すなわち「近代」の諸特徴を批判し克服する哲学の第一人者。

デリダは、理論を解釈する時に、そのような、理論の内部で暴力の犠牲として不可視とされている存在にこそ探究の目を向け、それらを救出して理論の中に取り込んでいくべきだと述べている。

国家無答責・・・大日本帝国憲法の下での国家の権力作用によって損害を受けた個人があったとしても、国家はその人に対する賠償責任を負わないという法理。

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