出口汪『東大現代文で思考力を鍛える』大和書房
東大の現代文の入試問題は、どれも「反権力・反常識」の主張が根底にあり、・・・
常識とは思考停止状態を生み出すもの
「つまり」を繰り返し使っていることから、たった一ヵ所分かれば、後は同じ内容の繰り返し
宇宙は永遠の時間と無限の空間とを持っているわけで、それを客観的に捉えるためには神の視点が必要だったのだ。
ニュートンが登場するまで、地球上の誰一人として、それらの現象を「みんな」という規則で考えなかった。
権力者は情報を操作し、それによって世論がいとも簡単に形成されていく。
歴史とは史料の発掘と解読であるとした時代が長く続いた。ところが、今、ようやく歴史とは記憶であるという考え方が根付き始めたのだ。まさに「書かれなかったことはなかったこと」とはならないのである。
私たちが信じ込んでいる近代という歴史も、当時勝者であった薩長の歴史観によって書きかえられたもの
近代とは世界中に西洋的価値観を押しつけようとした時代で、民主主義、生産主義、科学至上主義、合理主義などである。
プライバシーは近代が生み出したものである。
ヴァレリイの言うヨーロッパ、それを構成する三つの主柱、すなわち、ギリシャ、キリスト教、科学精神といったもの・・・
見所の批判を謙虚な心をもって受け入れ、師について批判の指摘を受けることであろう。
世阿弥の論がすぐれていると思えるゆえんは、演技を俳優の行為と、それに臨場する観客の行為と、ふたつの項をもちながらもたえずひとつの全体性としてしか働かない関係のなかで考えようとする一貫性にある。
実は自分の姿を一番理解していないのは、自分自身なのである。
自分の脳裏にある自分の演技する姿と、人の目に映る自分の姿とに大きな隔たりがあるとき、その役者の演技は独りよがりな、見るに堪えないものとなる。
観客の目に自分がどのように映っているかを絶えず把握しながら演技をしろということで、これを世阿弥は「離見の見」と呼んだ。
「平和」「正義」「祖国」「愛する人を守る」といった美しい言葉でもって、人殺しを肯定するのが戦争である。
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