姜尚中・森巣博『ナショナリズムの克服』集英社新書
ジュリアーニ市長にしても、ホームレスや少数民族を外部に押しやることで、ニューヨークをクリーンにしたと思うんです。
ネオ・ナショナリズム(今どきの日本万歳主義)
「日本人」を「日本人」たらしめているものは何か。そこで持ち出されるものは、「純血」や「ヤマト心」、あるいは「万世一系の天皇制」など、どれもまったくつい最近の想像物、捏造物の根拠ばかりですよね。
日本人にはどこかに「自分の国は特別なんだ」という思いがあります。・・・同時に、その裏返しとして、絶えず、在日韓国・朝鮮人(そして、アイヌ、沖縄人)たちをネガとして置いてきた。
日本型ナショナリズムは、突きつめて言えば、「国体」ナショナリズムであった。
西南戦争当時には、「日本人」など存在しなかったはずですよね。
「国体」がいよいよ法律用語として浮上したのは、「治安維持法」
現人神を憲法の内部に封じこめ、しかもそれを政治的にはイノセントな「象徴」に変身させることで再生した。
大東亜共栄圏は、政治的には挫折したけど、経済的には温存されている。
日本政府は、ナショナリズムなきナショナリズムなんです。
丸山真男も、日本人は政治的ではない形では過剰にナショナルなんだ、と言っています。
今の日本は、ネオ・ナショナリズムとしても中途半端です。
アジアの中で日本は例外なんだと思っている。でも、ヨーロッパの人々は、日本に興味を示しながらも、結局は、ベトナムや中国や韓国・朝鮮と同じアジアの国だと思っている。
『敗戦後論』の中で、加藤は、敗戦を日本人は非常にゆがんだ形で処理してしまったというふうに・・・
講座派マルクス主義
カルチュラル・スタディーズの成果にまともに向き合うと、ほとんどの日本論・日本人論が駆除されてしまうでしょう。
加藤典洋がなぜ日本であんなに受けたかと言いますと、あれは加害者に対する明瞭な「癒し」だったからです。
ナショナリストたちは、固有の文化とは何か、あるいは、固有の国民性とは何かを、ついに教えてくれなかった。
日本の左翼-マルクス主義というものが、民族について理解していなかった・・・
今は、ナショナリストでさえ、国家は想像の産物だっていうのは認めているわけです。
民族概念とは、「西欧近代」の発明物です。
少数者がいなければ、「国民」は成立しないんです。
生態学は、ナチスによってつくられた学問の領域だし。
ベネディクト・アンダーソンは、国民国家のことをモジュールと言っていました。
フランスの保険のことが、『ベニスの商人』のテーマ・・・
レイシズムは論理ではないんです。
五族ってのは、漢(漢族)、満(満族)、蒙(モンゴル人)、日(日本人)、朝(朝鮮人)
『想像の共同体』のなかでベネディクト・アンダーソンはナショナリズムを「社会小児病」と呼んだ・・・
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