伊藤元重『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞社
経営学者の方々による分析は、経済学者による分析とは少し異質であるように思われる。
ユビキタス社会(いつでもどこでも情報につながる社会)
「補完」という考え方は、ビジネスの世界で非常に重要なキーワードである。
ヤクルトなどのように販売員を直接顧客のところまで送り込めば、他者の商品と価格だけの競争になることはない。
赤ひげのやったことは価格差別なのである。
半導体の製造には経験効果が強く働く
価格差別の本質は、高くても買いたいと思う人には高い価格を付け、安くないと買ってくれない人には安くても売るということである。
三越にはお帳場制度というのがある。
三越の前身である越後屋は・・・「現銀掛け値なし」「正札」という商売を始めたことで知られている。これはまさに現代の定価制度の原点であり、線形価格の制度なのだ。
コカ・コーラが日本市場に参入するとき、既存の食品の流通チャネルを通さず、独自の流通網を整備したことはよく知られている。
薬の値段はよく「薬九層倍」と言われることがある。
日本のメーカーは、流通チャネルを制することが商品を販売する上できわめて重要な意味を持つことを深く理解していた。
系列店政策をうまく展開して、生産と流通・販売の同期化を実現したのが松下の流通戦略だったのである。
サントリーは日本最大のウィスキーの売り上げを誇っているから、・・・
インチョンは北東アジアのハブの地位を確立しつつあるようだ。
百貨店のことを業界では「百万貨店」と茶化して呼ぶことがあるが、・・・
モスクワのテレビはなぜ火を噴くのか
計画経済がうまくいかない理由は正しい情報が上に上がっていかないから、そして現場が正しいインセンティブで動かないからだ。
ハイエクの思想が社会主義、共産主義の思想を完全に駆逐した・・・
高めの給料を払うことによって従業員の志気を高める機能を持たせることを効率賃金という。
経済学の世界では、売り手と買い手の情報に違いが生じる商品を「レモン」と言う。
実は行列をつくらせることが、ラーメン屋の味が良いことのシグナルになっているのだ。
産業組織論の考え方は、競争戦略論と深い関係があるのだ。
ポーターの競争条件の重要なメッセージは、企業の競争条件を産業内の同業他社との競争のみで考えてはいけないということだ。たしかに松下電器やソニーや日立など同業他社と競争している。しかし、サプライヤー、顧客、まだ見えていない潜在的な参入者、そして間接的に競合する他の産業など、広範囲の競合相手に思いを馳せなければいけないのだ。
トヨタ自動車にとってもっとも手強い競争相手は、日産でもホンダでもなく、デンソーなのかもしれない。
競争が激しいということは、競争相手が多いということであるが、同時にそれは潜在的な顧客の数も多いということでもある。
健康食品は客が評価してくれれば利益率の高い商売ができる。
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