池谷裕二・鈴木仁志『和解する脳』講談社
法律って所詮は「村の掟」なんですよね。法律なんて、科学のように世界共通の普遍的なものではなくて、本質的にその国の歴史や文化によって違ってくる性質のものですからね。
科学者は「反証可能性」を重視します。反証可能な命題を立てないかぎり科学にならない。これはじつはすごく大切なことで、「反証可能性」こそが科学の大前提なんです。つまり、何か仮説を立てたときに、その仮説が否定できるかどうかがカギなのです。仮説が否定されてはじめて科学が進歩するのです。
科学者の使う言葉に「検証」と「確証」っていうのがあって、「検証」は英語でベリファイ(verify)、「確証」はコンファーム(confirm)なんですよ。言葉としては「検証」のほうが強くて、100パーセント正しいことを証明するというときの用語です。これに対して「確証」のほうは、帰納法なんですよ。再現性もあるから確率的にほぼ間違いないだろうと確度が高まればいい。
そうすると、おそらく法律は科学でいう「確証」のほうで動くわけですね。これだけ証拠が集まればもうコンファームできたと言うのかなと。
われわれは人間である前に生物である。
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