廣松渉『<近代の超克>論 昭和思想史への一視角』講談社学術文庫
第二次世界大戦の直前と最中の時期における往時の<近代の超克>論は、まさに、日本を〝盟主〟とする東亜が欧米に勝利して世界に覇を唱えるようになるという〝見込的構想〟と相即するものであった。
最近の世界の哲学者のなかで、歴史的に記録すべき人物は、誰よりもベルグソンとフッセルルであろうが、・・・
ギリシャ的実在は自然であり、キリスト教的実在は神であり、近代的実在は人間
カントの「自律」やフィヒテの「自己定立」
人々は日常生活の場において、おのれが機械的に単調な反復運動を営んでいることを忘れがちである。人間が単調な機械的運動を営むということが現実化し、かつ、それが自覚されたとき、まさしく悲喜劇的である。・・・「モダン・タイムス」
東洋の原理は正に無であるのである。
人の存在の構造を時間性として把握する[ハイデッガーの]試みは・・・
ブラーシュやフェーブルの理論
ランケの「道徳的エネルギー」
頭山満の玄洋社、内田良平の黒龍会
啓蒙的理想の〝実現〟と目された近代的ゲゼルシャフトの原理に対するゲマインシャフトリッヒ
西洋哲学を突き抜けてゆかなくちやならない。
支那には儒学、易学なんぞがあるが、それからは行きやうがないやうだ。
今日の日本の軍隊が強いのも、信玄や楠正成の兵法から出たのでなく、西洋の兵法で勉強したお蔭だらう。
軍人が西洋式を採つたやうに、学問も西洋流にやることだ。そしてそれを突き抜けることだ。
加藤周一のような、日本にとっての外来文化と土着文化との双方に通暁しておられる国際的文化人・・・
平野謙のように、文壇史的な心理的なタイプの批評家
「近代の超克」は、明治以来の日本の代表的な知性がたどりついた一極点なのだ。
思想・文学の領域でも、戦前のものがかたちを変えて復活してきたことはいうまでもない。
毛沢東と文化革命が西洋においても日本においても評価されたのは、・・・
マルクス・エンゲルスのなかに近代哲学あるいは近代的思考への根本的な批判を見いだす廣松氏の立場からは、・・・
ポストモダニズムという、もともと建築様式からはじまった言葉がさまざまな領域でいわれはじめたころである。モダニティ(近代)とは、何かを達成すべく前方に向かう時間性であり、そのような理念や目的をもつことだとされる。そういう「大きな物語」が終わったというのが、ポストモダニズムである。
ポストモダニズムは、本質と現象といった形而上学の「二項対立」の構えをディコンストラクトするものであるとみなされる。
ドイツと日本という敗戦国が復活することによって、政界の政治的構造はある意味で、戦前に類似してきたのである。
ヘーゲルはナポレオンによって歴史は終わったといったが、それはブルジョア民主革命が達成されたことによって、それ以上の歴史的課題や情熱がもはやないということである。
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