安東仁兵衛『戦後 日本共産党私記』文春文庫
モダニズムのイデオローグは丸山真男と川島武宜と教えられた。
マルクス主義の三つの源泉、価値と使用価値
昨日まで軍国主義の代弁者であり、天皇制の道徳教育の指導者であった教師たちが、一夜明けると昔からの〝民主主義者〟に変身している醜さは成年たちに、自分たちの住む国は自分たちの手で作るしかないという決意を固めさせたのである。
矛盾した〝大人社会〟を破壊する武器になる思想はマルクスレーニン主義のように思われた。その頃、東の陣営の指導者であったスターリンの蛮行は全く隠されていたし、ソヴィエトの政策主張が、本来のマルクス主義とは縁もゆかりもないものであることがあり得るという、政治世界の力学への認識は、ユートピアとしてのソヴィエト聯邦、理想としての社会主義という光彩に覆われて、青年たちの視野に入るべくもなかったのである。
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