瀬木比呂志『絶望の裁判所』講談社現代新書
全体としての秩序維持、社会防衛のほうが大切であり、また、司法が「大きな正義」などに深い関心を示すことは望ましくない、あるいは、そうなったら大変に都合が悪い。
一般的にいえば、事案を同じくする最高裁判決がある場合、下級審裁判所はそれに従ってよいことが多いだろう。通常の法律論であれば、多くの場合にはそれで問題はなく、法的な安定性にもかなう。
キャリアシステムというのは、司法試験に合格した若者が司法修習を経てそのまま裁判官になる官僚裁判官システムを意味し、相当の期間弁護士等の法律家経験を積んだ者から裁判官が選任される法曹一元制度に対置される。
キャリアシステムはドイツ、フランスなどの大陸法系諸国起源の制度であり、法曹一元制度はアメリカ、イギリスなどの英米法系諸国起源の制度である。
私の知る限り最もすぐれた最高裁判事であった大野正男弁護士から、・・・
多少なりとも個性的な裁判官、自分の考え方をもちそれを主張する裁判官、研究を行っている裁判官は、高裁長官にはなれない。
良識派は、ほとんど地家裁所長、高裁裁判長止まりであり、・・・
トルストイの短編、『イヴァン・イリイチの死』
最高裁長官は、原則として、めったに開かれない大法廷の裁判にしか関与しない
黒人だから、女性だから、それだけで、民主的なのだろうといった受け止め方は、決してしてはならない。
法曹一元制度のアメリカ
衆議院一対二・・・・・最高裁がガイドラインとしてきた比率にだまされてはいけない。
下級裁判所こそ裁判の生命線なのであり、・・・
新約聖書の言葉を借りるならば、ラクダが針の穴を通るくらいに・・・
田中耕太郎(砂川事件)・・・・・「元東大法学部長」で「商法、法哲学の学者」であった人間が、最高裁長官になると、こういうことをやっているのだ。この学者にとって、「法哲学」とは、「学問」とは、一体何だったのだろうか? しかし、これが、日本の司法の現実、実像なのである。
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