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2015年3月 1日 (日)

橘木俊詔『21世紀の資本主義を読み解く』宝島社

資本主義のメリットは、自由な経済活動が経済を効率的に運営するのに貢献することにあります。俗に言う近代経済学は、これを証明することに成功しました。

経済学の歴史を見ると、資本主義的な思想は、古典派経済学といわれる経済学の分野に芽生えています。

マルクスはケネーの経済表について、「天才的な着想である」と評価しています。

『国富論』では端的に述べると、「市場における自由な競争に委託する経済がもっとも最適である」ということを主張しています。

『国富論』で忘れてならないのは、「政府の役割は非常に小さくてよい」という主張です。

ヒュームの経済思想は、現代から評価すれば、ネオリベラリズム、あるいはリバタリアニズム(自由至上主義)の萌芽ととらえることができます。そして、そのネオリベラリズムは、のちのハイエクやフリードマンに通じる思想と言うことができます。

『21世紀の資本』は「高度な数学を駆使することは好ましくない」といった思想をもとに著されたと言ってもよいでしょう。

ピグーの古典派的な失業論が、ケインズによって痛烈な批判を浴びます。

ミルの経済思想は、のちの「フェビアン協会」の社会主義に引き継がれます。

この富める者、持つ者の地位が世帯間で移転することを「世襲資本主義」と呼んでいます。

本書のなかでもっとも批判的な論調を展開しているのは、経済の発展と格差の関係を実証した、いわゆる「逆U字仮説」として有名なクズネッツの所説です。この批判精神に、ピケティの独自性があるとも言えます。

ところがピケティは、このジニ係数による分析を好んではいません。

貧困者の分析という点に関して言えば、ピケティは労働所得の分析が不十分であるという点は歪めません。

トリクルダウン・・・中国の主席であった鄧小平による「先富論」もこれに近い経済思想で、・・・

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