原田勉『社会対応経営論としての経営学』TTS新書
事物に価格が付与されているということには、一方の商品を提供する企業は商品に対して利潤を含ませており、他方の顧客である消費者には商品を購入するための所得が存在する、という両当事者についての経済上の暗黙の前提が設定されている。
企業がこの点に着目して消費者を問題にすれば、消費者が商品を入手したいという単なる純粋な欲望を企業は相手にするのではなく、消費者が商品を購入できる所得に支えられた欲望すなわち需要(石原武政『マーケティング競争の構造』p50)に対して最大の関心を寄せるのである。
その需要が予測されなければ企業は決して商品を提供しようとはせず、また逆に所得に裏づけられた消費者の強い需要が察知されることになれば企業の商品生産活動は旺盛になっていく。企業の主たる関心は、人が何を欲しているかという欲望ではなく、買い手が持つ所得に裏づけられた欲望の需要なのであって、企業は買い手の欲望と同時に買い手の購買力にも注目していることを知る必要がある。
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